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三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮社)

読みたいと思いつつ今まで機会がありませんでしたが…
とうとう三浦しをんさんの『風が強く吹いている』(新潮社)を読みました!

風が強く吹いている箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二(きよせ・はいじ)と蔵原走(くらはら・かける)。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。


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「そんなの絶対無理だって!」

その計画たるやあまりに無謀、あまりに荒唐無稽!!
読み始めてすぐにハイジの「思惑」に勘づきましたが、まさか本当にやっちまうなんて…。
きっと誰もがこうツッこみ、呆れたことでしょう。

ハイジ、走、ニコチャン、ジョータとジョージ、キング、神童、ムサ、ユキ、王子。

「無理だよ、無理!やめときなって~」
そう思いつつも彼らがつなぐ夢の襷を追って、読んでいくうちにどんどん物語にのめり込んで行く自分がいました。

分かりやすい言葉で、彼ら10人ひとりひとりの人物像を鮮やかに描き出し、一緒に夢を見させてくれた、しをんさんの手腕に脱帽です。




まったく経験値のない仲間と共に、無謀な「敵」に立ち向かう10人の男たちの、熱くて長い戦いの物語。
仲間を集め(青竹荘の面々や商店街のサポーター軍団)、アイテムを揃え(メンバーの走りの力や商店街からの差し入れ)、ラスボス(箱根駅伝)に向かって着々と駒を進める…。
そっか。
「風が強く吹いている」はRPGなんだ。←ちがう?


若い頃はなんとなく横目で見ていただけの「箱根」も、年を取るごとにその面白さがわかって来て、ここ数年は必ず往路復路ともに見ています。
年を取って多少は気が長くなって来ているのと、自分が失った若く躍動感ある肉体の美しさ、そして毎年必ず起こる数々の「ドラマ」に胸打たれるから。
でも、絶対に本物を応援したいとは思いませんが。
あれはコタツに入って、解説を聞きながら鑑賞するものです。

ところで。

自分が長距離走が苦手だったので、その「苦しさ」と「孤独感」から「自分との戦いの競技」としてのイメージしかありませんでした。
でもこの作品で、襷をつなぐことに非常に大きな意味がある「駅伝」という競技の「チームプレイ」の面白さを初めて理解した気がします。


ハイジはいわゆる「上司にしたい男№1」。
人を見る目、判断力、企画力、実行力、交渉力、さらにそれを支える実力も兼ね備え、青竹メンバーをぐいぐい引っ張って行きます。
走ること以外はてんで不器用な走(かける)が、「どこまでもついて行きます!!」と、いちころになるのも無理はありません。笑

「駅伝」という選び抜かれた人たちの競技と思われるスポーツに、ずぶの素人を引き連れて、しかもその最高峰である「箱根」を目指そうとするなんて…。
ハイジったら、究極のドリーマー
しかも、その夢の実現のためにその出会いさえも「利用」した、と走本人に正直に伝える愚直さがいいです。


夢は大きいからこそ見る価値があると言いますが(←誰が言ったのかは「?」)、面白半分、ひやかし半分、脅迫半分ではじめた青竹荘メンバーの必死の頑張りを見ているうちに、応援したくなる、勝たせてあげたくなってくる。

それも、彼らの愛すべき個性の勝利!
すっかりしをんさんの術にはまった気がします。笑

ハイジと走については「選ばれた人=主役」としてカウントする別格として、青竹メンバー内で特に私が好きなのは王子とユキ。

王子の漫画への偏愛ぶりが…もう他人事とは思えません!!
王子とあだ名されるほどの美少年ぶりを発揮しておきながら、愛するものは漫画オンリー!!
好きな女性はもちろん2次元にしかおらず、彼の人生に漫画以上に大切なものなど存在しない。
なのにハイジの信頼に対しては、彼なりの精一杯で答えようとするところが「萌え」でした。

そして唯一の眼鏡キャラ、クレバーながら胸の奥に熱さを秘めたユキ…好きです


神童とムサのあ・うんの呼吸も素晴らしいし(夫婦?)、双子のジョータとジョージの愛くるしいキャラもほほえましい(おさる?)。ニコチャンの苦労人風情はまさに煙が目にしみるし、キングは…まあ、いっか。(ごめん)

笑いあり、涙あり、喧嘩もし、飲み明かし、力尽き倒れるまで走って走って、全員で頂点を目指す。
一人でも欠けたら描けない、大きな夢。
それに賭けた彼らに共感し、読みながら時に涙さえにじみました。

(以下ネタばれなので反転)
物語の冒頭、青竹荘のメンバーに「足が折れるk覚悟で」やり通すと宣言したハイジに、すでにその未来を予感していましたが、わかっていてもやはりこのラストはやるせない。
走りの申し子たる走という「理想の走りを具現化する者」との出会いが、ハイジの覚悟を決めさせたのだと思うと、その出会いは本当に奇跡だったのか…。
エピローグで後輩に「ハイジさんてどんな人ですか?」と問われ、「ものすごく嘘が上手い人」と走が答えるシーンには、号泣でした。


彼らの最高の見せ場である「箱根駅伝」のくだりは、トイレをすませ、飲み物を準備してから、一気に読み終えてください。
これからの人生の、駅伝競技を見る目がきっと変わること請け合いですよ!

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