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中村明日美子『卒業生―冬―』『―春―』(EDGE COMIX)

やはり、よかったー。
2010年ベスト1はもう決まったか!?

ということで、中村明日美子さんの『卒業生―冬―』『―春―』(EDGE COMIX)を読みました♪

卒業生-冬- (EDGE COMIX)大学受験を間近に控えた佐条は、予備校帰りに草壁とのデートの時間を重ねていた。
そんなある日、佐条の母が入院することになる。
病院への往復、家事、そして受験に追われ、心身ともに疲れきっていた佐条は「今、お前に会いたい」と、だれもいない自宅に草壁を呼んだ…。
ほか、ハラセンの青春時代を描いた番外編『げに大人というものは』同時収録。

収録作品:「冬のはじまり」「げに大人というものは」「手ぶくろをかいに」「Fitting」(描きおろし)「気になるあの子」「気になる先生」「雨に宿る」「泣きそうなとき」



卒業生-春- (EDGE COMIX)佐条の受験まであと数日。
学校の帰り道、将来について草壁は「養子縁組とかすんでしょ」と浮かれて話すが、世間はそんなに甘くないと猛反発する佐条。
仲直りする間もなく受験会場のある京都まで向かうと…。
ゆれる青春時代の思い出を綴った人気シリーズ遂に完結!

「落ちない涙」「お好みに焼く」「卵を焼く」「モチを焼く」「鉄板で焼く」「京都にて」「卒業」「After School」(描きおろし)


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私に、はじめて「萌え」という感情を実感させてくれた前作、『同級生』(感想はこちら)からもう2年近くたつんですね~。

…。

え!?
2年ッ!?汗

BL読みって、ほんと気が長くなりますよね。笑


これは『同級生』の続編がOPERAではじまったと聞いてから、いつ完結の時が来るのか首を長くしてまっていました。

いや、正確には首はのびてなかったかな。
なんとなくこの作品には、「完結らしい完結」を迎えて欲しくなかったので~。

でも、季節はめぐって彼らは無事、思い出深い学び舎を巣立っていきました。

読み終えたときに、思わず涙ぐんでいた自分の乙女心にはびっくり。
あの涙は、もうこれで彼らの制服姿は見られないんだという、寂寞の思いの表れだったのかしら…。

さりげなく、でも計算されつくした明日美子さんの世界をじっくり味わい、酔って欲しい。
そして最後は、読み終えた3冊の背表紙を本棚に並べて、どうぞにんまりとしてください。


【卒業生 ―冬― 】
【卒業生 ―春― 】

こっ…
ここここここ、これはッ!!!

思わず「ハラマナブさんに、1000点~~~ッ!!!」

と、叫びたくなったほど大人の純情に激萌えしました。(特に『冬』)

そうなんですよ。
一度好きになったら、そんな簡単に割り切ったりも出来ませんよ。
オトナだからって。

オトナゆえに、ずるく賢く、じっくりと、つけいる隙を狙ったりも出来るんですもの。

それにしても、ハラセンも「初恋の病」に罹っていたとは…!!

10代の頃の恋って、時間がたつほど輝きを増して見えるんですよね。
それは、「けして取り戻せない時間」という目に見えないフィルターが思い出にかかってるから。

そんな青春の輝きとときめきを、目の前の佐条に求めても仕方ないと思えます。

ほんと、ハラセンてば可愛い男です。


そして、草壁と佐条の二人は、喧嘩しながらも仲睦まじい。
これはもう、二人が何をしていようとニヤニヤです。

たとえそれが一緒に並んでいるだけでも…

ニヤニヤがノンストップです!!爆

今回は、佐条の母親の入院や父親の仕事の事情などをふまえ、学校での出来事から離れた家庭にまで踏み込むことで、草壁との関係により深みを持たせています。

高校生なんて普通はまだまだ親の庇護が必要な存在。
佐条の抱える不安や大変さに、べストとは言えないけれども自分の出来る範囲で力になろうと頑張る草壁が微笑ましいし、その気持ちをちゃんと汲み取って、甘えるところは甘える佐条のいじらしさがとても自然。

互いにとまどったり、つまずいたりしながらも、手に手をとってちょっとずつ成長していく姿が可愛いです。

そんな二人が結果、卒業式であんなラストを迎えるとは…

なんてドラマチック

ずっとこの二人の恋を見守り続けてきたファンにとって、これ以上ないほどの素晴らしい贈り物だったと思います。

そして。

かつて『同級生』の感想でも書いたんですが、この作品のキモは10代の恋愛のリアル感かと。

普通の10代が普通に過ごす日常の中、ちょっとずつ相手に募らせていく恋心とか、ふとした仕草に感じる愛おしさとかの表現が、実にさりげないのに明日美子さんならではの切り取り方のセンスが抜群で、素晴らしい。

そして何より印象的なのは、10代という年代にしか持ち得ない「疾走感」。

前作では「じっくりゆっくり恋をしよう」というコピーが話題になりましたが(たしか)、それは体の結びつきのことだけじゃなくて気持ちのことでもありました。

でも、彼らは出会った瞬間に感じた「自分にはこのひとしかいない」という運命めいたもの、相手に対する言葉にならない執着を、「結婚」という言葉で表し形にしたいと考えたんだと思います。

これを世間では「若さ」、とか「勢い」などと呼びますよね。

でも、これこそが明日美子さんが考えた10代の放つ輝きであって、尊さなんだと感じました。

(今思うと「となりの801ちゃん3 限定版」付小冊子の一枚絵(=佐条と草壁のダブルタキシード姿!)は、このラストの前ふりだった…んですかね!?)

さらに。

改めて振り返ると、このシリーズは読者にとっていかに読みやすく、いかに“気持ちよく”読めるか、を考え抜かれて作られたお話のような気がします。

ストイックな佐条が垣間見せる色気と、さりげなく男前な部分とのギャップ。
そして、一途な草壁の愛すべきおバカっ子ぶりと、本当はその身に秘めた音楽の才能。笑
加えて、あくまで脇役であるハラセンにさえ、読者が深いシンパシーを感じずにはいられないほどうまく張り巡らせた絶妙な伏線…。

どれもこれも、明日美子さんの手によって巧妙に作り上げられた「BLらしいBLの世界」の断片です。
キラキラとまぶしいばかりの、構築されつくした青春の物語です。

それに気づいてしまったのは、佐条の母親が「男の子」の恋人を連れてきた息子を、ふつう有り得ない位にすんなりと受け入れたことに、ちょっと違和感を感じたからに他なりませんが…。
これまでもハラセンに近い目線から二人を見守っていたつもりの自分が、思わずここでは息子をもつ母親の心理に引っ張られてしまったというか…。苦笑

でもそこで私のように立ち止まらずに、うまく話にのっていければ、素晴らしい読み心地を壊すことなくあのラストへとなだれ込めるはずです。

いずれにしろ、読み終えた時にこんなに清清しい気持ちになれる作品はそうはありません。

ここは気持ちをまっさらにして、彼らと青春を共有し、最高の読後感を味わおうではありませんか。
うだうだ言わずに、明日美子さんが描いて見せてくれた鮮やかな彼らの世界を思い切り堪能すべし、です。

そして。

我らがハラセンに、さらなる続編では幸多からんことを。

あとは、まんまと全サという名の罠に嵌るだけですね。笑

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コメント

papicoさん、こんにちは。

卒業生冬・春、とっても素敵なお話でしたね~。
ホント私も読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。

もちろんopera vol.18も買いまして、これからはハラセンの新たなる恋(?)を応援していこうかと思います。
また、こちらのお話にももしかすると草壁&佐条の二人がチラリと登場することもあるようなのでそれも楽しみだなと。

そして全サのワナにもしっかりとハマり、そろそろ無記名小為替を購入しなければと思っています。
応募する前から小冊子がどんなのか楽しみで、楽しみで。

そしてpapicoさんのおっしゃる通りに、このお話はとても考え抜かれたBLなのですよね。
えてしてBLというのは主人公の周りにいる人たちが二人の関係に好意的なお話が多いのですが、現実はそんな甘いものではないですね。
でもその甘くない部分にフタをして楽しむのがやはりボーイズラブというものなのでしょう。
私自身、こういう作品を読んだりTVなどで同性愛者の方々が自身の気持ちなどを語る番組やそれらをテーマにしたドラマ、映画などを見るにつけ、もし、自分の子供がこういう立場に立つことになったら…と考えることがあります。

でもやはりBL作品を素直に楽しむにはあまり難しいことは考えずに(考えることも大切ですが)読むに限りますね。
そしてこの素晴らしい読後感を与えてくれた作品に出合えたことを感謝しようと思いました。


みゆさん、こんばんは♪
ホントに素敵な作品ですよね~。読んでいる間は、すっごく愉しい至福の時でした。笑

> もちろんopera vol.18も買いまして、これからはハラセンの新たなる恋(?)を応援していこうかと思います。
私も今日あわてて密林でポチッとしました!
あの表紙の子がハラセンの新たなお相手ですかね!?佐条や初恋の君とは、またちがったタイプの男の子ですね~。

> また、こちらのお話にももしかすると草壁&佐条の二人がチラリと登場することもあるようなのでそれも楽しみだなと。
いやー、確かに。ちょっと大人になって、自分で買った服を来ている佐条をぜひ見てみたいものです~♪

> 応募する前から小冊子がどんなのか楽しみで、楽しみで。
ひょっとしてあれですかね?京都での一夜とかでしょうか…。ふふふふ。
終わってからも夢を見させてくれる二人。素晴らしいですよね。

> そしてpapicoさんのおっしゃる通りに、このお話はとても考え抜かれたBLなのですよね。
> でもやはりBL作品を素直に楽しむにはあまり難しいことは考えずに(考えることも大切ですが)読むに限りますね。
> そしてこの素晴らしい読後感を与えてくれた作品に出合えたことを感謝しようと思いました。
そうなんですよね~。そのさじ加減は難しいと思うのですが…。
BLというエンターテイメントに徹した作品は、心の栄養になると思うんですよ。
素敵な作品を読んだ女の子たちが、萌えと元気をチャージして、明日の仕事もちょこっと頑張れる。
これはそんな時代が必要としたBLなのかも、と今!まさに気がつきました。笑
とりあえずしばらく手元において、ちょっと読んではニヤニヤして余韻を楽しみたいと思います。
また是非遊びにいらして下さいね☆

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