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ヤマシタトモコ『ジュテーム、カフェ・ノワール』(Dariaコミックス)

まるでBLには見えない表紙が、夏休み中の我が家には嬉しかったです。

ということで、ヤマシタトモコさんの『ジュテーム、カフェ・ノワール』(Dariaコミックス)を読みました!

ジュテーム、カフェ・ノワール『好き』にもいろいろあるけれど――?!  
それは、「好き」から始まった。男に恋心を打ち明けた男。趣味の話に花を咲かせる男女。待ち合わせ相手の来ない女。とあるカフェに偶然集まった3組の客と、2人のバイトで織り成される、それぞれの小さなドラマ。軽妙でいて、時に切なく胸を打つ、ヤマシタトモコの世界が詰め込まれた、珠玉の作品集。表題作ほか、読み切り6作品と描き下ろしを収録!

■初出■

ラ・カンパネラ…Daria 2006 12月号
こいのじゅもんは…Daria 2008 4月号
サタデー・ボーイ・フェノミナン…Baby vol.5
魔法使いの弟子…Baby vol.7
cu,clum,come 食・喰・噛 …Baby vol.8
ワンス・アポン・ア・タイム・トーキョー …Baby vol.6
ジュテーム、カフェ・ノワール …Daria 2007 8月号
魔法使いので。…描き下ろし
ジュテーム、カフェ・アラ・クレム ~タムラの巻…描き下ろし
ジュテーム、カフェ・グラッセ ~髭の巻…描き下ろし
ラ。…描き下ろし
あとがき…描き下ろし

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数ヶ月前、書店で「月刊 flowers (フラワーズ) 2009年 04月号」の表紙にヤマシタさんの名前を見かけたとき。

正直、「マジで!?」ってヒキました。汗

でも、繊細な心理描写がうまいので、男女の恋愛マンガを描いたとしてもヒットする(死語)のかもと、無理やり納得してみたのですが…。

「フラ○ーズ」は草間さんの作品が載っていた時にも相当びっくりしたんですけど(店頭で「うそ!?」と叫んだ記憶が…)、はっきり言ってお二人が「フラ○ーズ」に描いているという事実に違和感がぬぐえず…。
作品はまったく読んでおりませんです。汗

小○館はいったい何を考えているのだろうか。
去年の年末に『BLコミック 恋する言葉。 Perfect Bible』を出した時に、その意図に気づくべきだったのか。

とまあ、それは一旦おいておいて。
ヤマシタさんの新刊です。

ヤマシタさん「Daria」に描いてらしたんですね。
知らなかったです。(たいていコミックス出るまで知らないのだが)

そして、なぜに「Baby」(ふゅーじょんぷろだくつ)の分と同時収録なのでしょう。

最近、ようやく『恋の心は黒い羽』のCDを聴いたのですが(遅ッ!)、聴きながらしみじみと思ったのは、ヤマシタさんの作品の面白さは会話にある、ということでした。
(いや、すみません。ホント今さらで…。)

絵がさっぱりしているせいか、マンガだとけっこうテンションが低めに思える台詞でも、実際声優さんが演じると「生々しい」ところが面白い。

そこに違和感を感じる方も多いかと思うのですが、私は立派な“会話劇”として、充分に楽しむことができました。

この作品も、巧みな「会話」が中心となって、様々な人間模様を織り成します。

もはやヤマシタ作品において「BLらしくない」と言うのは、ほめ言葉!
独特の空気感と台詞回しが、やっぱり好きだなあ、と思えた1冊です。


【ラ・カンパネラ】Daria 2006 12月号掲載

君を困らせて喜ぶおれは「ハタン」している


直球メガネxツンデレな文学インテリくん。

これはあれだ。
好きな子ほどいじめたい、ってヤツでした。

ヤマシタさんいわく、予想外に一番BLっぽい話、とのこと。
ほんと、そうですね。笑

恋に落ちるときに鐘がなる、とかファンファーレが鳴り響くって表現は、古典的なんだけど、実際にそういう瞬間ってあると思う。

読んでいて、ちょっと恥ずかしくなるくらいBLっぽくって、よかったです!笑


【こいのじゅもんは】Daria 2008 4月号掲載

ホントにマジメに話そうと思ったのに 話になんねぇよ


ゲーマーx音楽好きのノンケ。(いつものように絵では受攻判断つきませんが…)

わかる!君(ゲーマーじゃないほう)の気持ち!!
と、読んでいる最中に叫びたくなりました。

なぜなら、私はほぼゲームとは縁のない人生を送ってきた(いる)からです。

でも、なぜか周りにゲーマーな友人が多く、彼女達と会話していて主題がマンガからゲームにスイッチすると、異世界に放り込まれたような気分を味わっていたのです。笑
多分、相手をそういう気持ちにさせることも多かったと思いますけれども…。汗

言語が異なると意思の疎通が難しくなるけれど、互いの努力しだいでは不可能ではなくなりますよ、というお話。←そうか?

「恋の呪文はスキ●キメキトキス」=『さすが●猿飛』、がすぐわかった方、同世代ですね。

「ろま●ちっくがとまらない」のは、『CCB』。爆


【サタデー・ボーイ・フェノミナン】Baby vol.5「傷特集」

あの夕方からずっと傷がなおらない


元同級生の基本ノンケリーマンxゲイのバーテン。

アンソロジーって普段読まないのですが、初出にはお題を入れて欲しいといつも思います。
ということで、これは「傷特集」。

高校生の頃にひどいことを言われた傷を抱えて大人になった桐谷が、その傷の元を作った同級生と偶然再会し、その彼と新しい一歩を踏み出すまでのお話。

静かなお話ですが、ヤマシタさんならではの演出が冴えています。

「PHENOMENON」の意味は「現象// (~s) 驚異的な事物;〈話〉非凡な人」。

「…地球に未練なんてないのに…」との桐谷の台詞に、思わず「飽きたところなの?」とツッコんだ方、同世代ですね。笑


【魔法使いの弟子】Baby vol.7 「無機物推奨擬人化特集 」

…ぼくは頭がおかしいから話しちゃいけないって大人の人から言われてないかい


言われてるよ でも男の子が好きなんでしょ?なら平気だよ


男に振られてモラトリウム中?のゲイの絵本作家と近所の女の子。

これがうわさの「擬人化特集」のですか!
あまりに人気で第2弾も出てましたね。笑

「女の子は生まれつき魔法使い」って絵本作家の(というか、ヤマシタさんの)発想に驚き、擬人化が“ネムの木”だったってところで2度驚きました!

女の子からは遠いけれど、お母さんなのに、あの魔法は私にはかけられない。
なんだろう、この敗北感は…。汗


【cu,clum,come 食・喰・噛】Baby vol.8 「前屈みになるエロス特集」

…メシなんてアガペーだ


男友だちに想いを寄せる料理上手のゲイと、餌付けされたその友だちのお話。

ヤマシタさんがものを食う姿はえろいということしか考えずに描いた作品らしいですが、正直前屈みになるほどのエロスはそこにないでしょう。

実際、この作品にもありません。笑

でも、美味しく食べて欲しくて一生懸命料理をして、次に家を訪ねてくれる日を待ちかねる姿に、相手を好きだという気持ちが切ないほど伝わってきます。

それはまさにアガペー、「無償の愛」。

どうしようもなく切ないラストですが、けっこう好きな作品です。
ひょっとしたら、その涙で何かが変わるかもと、甘い予感を含んでいるところが。

そして、モノを食べる姿に「色気を感じる」とはよく言われることですが、よしながさんとどなたかの対談で(誰とのだったかは忘却)、モノを食べると言う行為は口をあけて相手に腹の中を見せることだから、小野はそのミステリアスさを演出するために食事をするシーンがほとんどないのでは、と指摘されていたことを、ふと思い出しました。


【ワンス・アポン・ア・タイム・トーキョー】Baby vol.6「秘密特集」

言わなかったけど すごく好きだった


私鉄の車掌さんと、かつて好きだった幼なじみとの偶然の再会。

ちょっと!
これ、私の心にストレートに響きましたよ!!
ああ~、切ない~~!!
方言が泣かせてくれる!

好きだった幼なじみとの関係を壊したくなくて、何も言わずに彼から逃げ出しちゃうって車掌さんの、その卑屈さがいい。
さすがヤマシタキャラ!笑

もう2度と会うことはないだとうと思ってやり過ごしていた毎日の中での、これは奇跡か運命か?

このあと、彼らに「また」はあるのかな。
「いつか」あってほしい、と思いました。


【ジュテーム、カフェ・ノワール】Daria 2007 8月号掲載

なあこれ もしや恋?


カフェを舞台にした一期一会的な群像劇の面白さを堪能できる作品。

3卓のお客さん達の会話と、店員さんらのやり取りが、入り組みつつもサラリとうまく構成されていて、とても「小粋」(笑)です。

ヤマシタさんが、「偶然の構成」というとても描いてみたかったことをやれて、とても楽しかったそうですが、読んでいてもすごく楽しい作品でした!

オサレなカフェって、場所によってはあまりに隣席同士のテーブルが近くて落ち着かないところもあるんですけど、きっとそんな距離感?笑

でも、だからこそ、ひょっとしたら今もどこかであり得そうな話の展開や、座の一体感が面白すぎます。

最終的には並んだ3卓のお客様たちから離れて、しっかり店員2人の恋バナ(ラブ的な意)でオチがついていて、その手腕もお見事でした。

あの2人には大いにリバを期待します!(できます!)


【描き下ろしいろいろ】

それぞれの作品に1枚絵~2コマの描き下ろし。
ヤマシタさんの描き下ろしはあと味が軽く軽妙なところがいいです。

ただ、お気に入りの料理上手と車掌さんに会えなくて、それはさびしかった。
きっと彼らはシリアスの担当なのでしょう。笑


と言うわけで、今回も「会話」の面白さを堪能できる短編集でした。

ヤマシタさんの作品を読んでいつも感じるのは、気持ちは言葉にして相手に伝えないと意味が無い、というメッセージ。

この作品のきらめく台詞たちも、またぜひCDの生きた言葉で聴いてみたい!
特に、「涙のとまるコーヒーです!」を。笑

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