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大竹とも/木原音瀬『恋について』(プラザコミックス)

BLとは思えないこの表紙に驚き、そしてそのセンスに感動さえ覚えます。

ということで、大竹ともさん画/木原音瀬さん原作、『恋について』を読みました!

恋について (プラザCOMIX Hollyシリーズ) (プラザコミックス)-君みたいな女の子がいればよかった。-
ブライダルコーディネーターの朝霞武史は、初めて結婚式を担当したお客様、笹川吉郎と一年ぶりに再会した。
朝霞のミスを笑って許してくれた、優しく、互いを慈しみ合っていた笹川夫婦は、朝霞にとって理想の夫婦だった。
再会をきっかけに、笹川と居酒屋で顔を合わせるようになった朝霞は、黙って話しを聞いてくれる穏やかな男と過ごす時間が好きになった。
そんなある日、泥酔した笹川を送っていったマンションの部屋で朝霞が見たものは・・・。
大人の恋の切ないラブストーリー。

ergo掲載原稿に大幅改稿+ラブラブ描き下ろし収録。
木原音瀬の小説世界の男たちの人間関係や感情の流れを忠実に追い丁寧に描いた漫画化第一弾!

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木原作品への耐性を作ろうと(?)、とりあえず読んでみた『ergo』の中で、一番気になった作品がこれでした。
(次に気になったのは深井さん作画の「さようなら、と君が手を振った」と、木原さんの描き下ろし短編でしたが)

あまりに普通の男たちが、その恋について悩み苦しみながら、ひとつの答えを導き出すまでの作品。
木原さんの原作にしては、かなりふつうです。
(いや、初っ端から片方に妻がいたりするのはかなりふつうじゃないか。汗)

特に大げさな事件が起きるわけでなく、ひょいと芽生えた恋心をもてあましてウダウダする、どこにでもいるようなふつうの男2人の心象をとても丁寧になぞっていく。

その展開にかな~り焦れ焦れさせられながらも、それゆえに!
その行く末をちゃんと見守らねば!!

という気持ちになりますよ。笑

「恋って、ホントにやっかいだよ」

なんてつぶやきながら、大竹さんの味わい深い作画をじっくり楽しんで頂きたい作品です。


この作品のポイントは、なんといっても笹川ではないでしょうか。

ここまでどうしようもなくヘタレな男を私は知りません。

どんなヘタレであろうと、BLにおいては見た目がよいとか、芯が1本通っているとか、キラリと光る何かを備えているものではありませんか?

なのに、笹川には…笹川には…
いいところがぜんぜんないよ~~~!?涙

無趣味で、気弱で、臆病で、驚くほど不器用で。

でも、唯一、しっかり者の朝霞が惹かれた部分があるんです。

「聞き上手」という長所が!!爆


これは、大人しくて優しいだけが取り得の笹川と、その笹川の結婚式がはじめての担当だったブライダルコーディネーターの朝霞の恋の物語。

BLなのに、片方が妻帯者ってどういうこと!?と、いきなり虚を突かれる展開なのは、さすが木原さんの原作です。

前半は朝霞の思い込みの激しさにイライラさせられ、後半は笹川の身勝手な思い込みにイライラさせられ、とにもかくにも激しく感情を波立たされました。

2人でいるシーンの多くにアルコールが登場し、朝霞は飲むとすこし饒舌になり、笹川はただその話を黙ってうなづきながら聞いている様子が印象的。

そして、笹川も朝霞も「あまりにもふつうの男」なので、お酒の力を借りないことには、同性である相手には、本音をぶつけることさえ出来ません。

酔って自制をなくしたり、酔いが醒めては後悔したり、ほんとに大人の恋愛はいろいろ曲がりくねって面倒です。笑

互いに好感をもって、より深く知り合いたい、触れ合いたいと思っても、男同士ということでなんとなく気まずかったりタイミングがあわなかったり。

一歩進んで十下がる勢いの彼らの足取りにさんざん焦らされたあげく、ページ数も残りわずかなのに一体どんなオチになるのかとハラハラさせられっぱなしでした。

でも、おかげで(?)最後までまったく飽きずに楽しませてもらえ、あげく期待に応えての描き下ろしには至極満足です!

大竹さんの絵は決して華やかとはいえないのですが、キャラになんとも言えない情が滲んでいて、仕草や表情のひとつひとつがひたひたと胸に迫ってくるよう。

2人の感情の揺れ動きそのままに、こちらの気持ちも千々に乱れて、いつもよりも、ずっと時間をかけてページをめくってしまいました。

お気に入りは、ビールに酔ってねぼけた朝霞を笹川がベットルームに抱っこで運ぶところ。

あんな何気ないひとコマに激萌えですよ!!

この人、天才じゃないのかしら!?

と思って、他の作品を探したらことごとく絶版の憂き目に・・・。

うお~~~。
また、中古書店で目を皿のようにして棚を見つめる日々をはじめなくては~!!


木原さんの原作は未読なのですが、これはこれで、もうひとつの完成形といえる位、とても満足度の高い出来であることは保証いたします。

どうぞご自分のお手にとって、ぜひぜひその目でこの恋の行方を見守ってみてください!

きっと深く心に根付いて、忘れられない作品になること請け合いです。

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