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えすとえむ『キネイン!』(マーブルコミックス)

えすとえむ さんって、これまで「SとM」さんだと勝手に思っていたんですけど、違ったらしい…。すみません。

ということで、えすとえむ さんの「キネイン!」(東京漫画社/マーブルコミックス)を読みました!


双子のケンとマリ、おとなりの家のジョーは仲良しで小さい頃からいつも一緒。
それぞれが恋心を抱いている。
想い描く夢、見えない未来、永遠の友情、報われない恋。
青春の甘味を等身大の10代で爽やかにかつほろ苦く描くすべて日本舞台のラブストーリーがつまったえすとえむの最新刊。
BGM人気連載の表題作と読切り3編+描き下ろしを収録。

■CONTENTS■
take1.SUNDAY  MORNING MOVIE/「BGM VOL.4」東京漫画社/2008.01
take2.Friendship is not enogh./「BGM VOL.5」東京漫画社/2008.03
take3.Tokyo Holiday/「BGM VOL.6」東京漫画社/2008.05
take4.The alien who I loved./「BGM VOL.7」東京漫画社/2008.07
サルビアと理髪師/「Baby VOL.2」ふゅーじょんぷろだくと/2007.06
あの夏の景色/「Baby VOL.3」ふゅーじょんぷろだくと/2007.09
ミックスジュース/「Baby VOL.1」ふゅーじょんぷろだくと/2007.03
X X X/書き下ろし

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これまでの作品がすべて海外を舞台としたものだったので、読んではいても、なんとなーく遠い存在だった えすとえむ さん。
この日本が舞台のお話によって、一気に身近に感じられるようになったことが嬉しかった!

しかも、表紙だけを見るとまるでコメディ!?
でも、中身はぜんぜん違いました。

表題作は「雰囲気BL」な上(というか全編そうですが)、映画好きにはたまらないネタが満載。

まず口絵にはチャップリン、モンロー、ジェームス・ディーンに扮した3人が。

ほか、ケンの部屋に「2001年宇宙の旅」のポスターが貼られていたり、言語の異なる初対面の3人は「E.T」さながらの交信で仲良くなったし、さりげないコマで「プラトーン」のポーズとってたり(書き文字もある)、各話扉絵はあれやこれやの映画ポスターから構図を引用してたり、あとがきも映画キャラのコスプレだったり。

しかも、どれもこれもちょっと(かなり?)懐かしい作品なのが、私的には嬉しかった。笑

えすとえむ さんのスタイリッシュな画風と、カメラワーク的なコマ割りも内容に非常にマッチしていて、とても素敵な作品でした。

おまけに、学ランとブレザーが並び立ち、どっち派にも美味しいイラスト満載で嬉しい~~♪

さらに、読みきりに久しぶりによいオッサンを発見~~と大興奮でした!

甘くてちょっとホロ苦い。
振り返るとキュンと胸が切なくなるような、青春の輝きに満ちた1冊でした。


【キネイン!】

安心しろ、俺にはそうならない未来は考えられない


ケンとマリは双子の兄妹。お隣のジョーは、2人が幼いころ日本に引っ越して来てまだ言葉も話せないうちからずっと仲良しの幼馴染。なにをするにも3人一緒に過ごしてきた。
映画好きな3人はつるんで映画を見に行くのが常だったけど、このところケンにはそれがどうにも居心地が悪い。
なぜなら、ジョーに突然告白された矢先に、マリはジョーのことが好きだと知ってしまって…。

* * *

主役2人のネーミングから、思わず「科学忍者隊ガッチ●マン」を連想したのは、きっと私だけではあるまい。

さらに、マリのルーズソックスとか、3人があの年齢で「E.T」を知っていたことなどを考えて、ひょっとしたら舞台は昭和なの…??

と、まあ、そんな疑念はおいておいて。


日本人のわりにマリの容姿がバタくさいわ~!

と思ったら、なんとハーフでした。(よね?)
なんか安心した。笑

でも、双子のケンは黒髪日本人顔で、ジョーの方が彫りが深く見えるんですけど。
マリとケンは2卵生なのは間違いない。

で。

テーマは男女の双子とお隣の幼なじみのトライアングルラブ

なわけですが、BL的にはどうみても状況はマリに不利なわけで…。

かわいく元気で威勢のいい女の子なので、ジョーがマリに心惹かれなかったのはやっぱり真性だったからか…と、なんか深読み。

ジョーに告白されても「自分が誰が好き」なのか、ピンとこないケンと、そのこと自体を「忘れてくれ」と頼むジョー。
告白にとまどいながらも、妹と仲良くしているジョーを見ると、なんだか落ち着かない気分になるケン。

高校生らしいスキンシップに顔を赤らめるジョーが可愛いったら…。

さらに芝生に寝転って、「いつも通りに」ジョーのおなかを枕にするケンと、そのケンの顔を愛おしそうになでるケンの姿には…

かなり「萌え」っと来ました!笑

幼なじみならではの気安さで触れてくるケンに対して、ジョーはいつ頃から友達以上の感情を抱いていたのか…。
それがとても気になります。

「恋」を自覚しながら臆病になったり、「恋」そのものに曖昧な感覚しか抱いていないような2人のやり取りが、初々しくて、ちょっぴり切ない。

青くてすっぱい青春の1ページを一緒に過ごしたような、心に残る作品でした。


【サルビアと理髪師】

サルビアですよ 花言葉は「燃える想い」と「家族愛」


高校の友人だった満夫、隆、ユリの物語。
満男はユリと結婚したが、ユリは病で10年も昔に逝ってしまった。
それからも彼らは、今でも友人として変わらぬ付き合いを続けている。
そして昔と同じように、女を口説きに行く日には、隆は満男に髪を整えてもらいにくるのだが…。
* * *

おお!これは!!
久しぶりに「オッサン好き」な方に、自信を持っておススメできる作品に出会いました!(← toこきちさん!笑)

こちらも高校生の頃から続いた友情と、秘めた恋心を描いた男女3人のお話です。

すごく似たシチュをまんだ林檎さんの『コンプレックス』でも読みましたが、私はこういう関係は嫌いではないです。

だって、そんなこと(ユリの死)さえ無かったら、きっとお互い墓場まで持って行ったであろう気持ちって、すごくストイックで、神々しいとさえ思ってしまうから。

あの台詞を口にしたユリの気持ちを思うとたまらなくやるせないけれど、2人が幸福になってくれるなら報われると信じたいのです。

10年、いやそれよりずっと以前から。
ひそやかに求め続けていたものを得た時の二人の笑顔が、とても素敵な作品でした。


【あの夏の景色】

セザールが死んだのは悲しいけど おかげで君に会えた


フランス人のジローの父・セザールは、母と離婚後フランスから日本へ渡る。
その父の訃報が、再婚相手の息子である治郎から寄こされた。
ジローは一人日本へ旅立ち、治郎とともに父の愛した日本の夏を過ごす…。
* * *

えすとえむ さんは、やはり外人さんを描かせると素晴らしい!
彫りが深いです~。笑

が、ここでは治郎のお色気も相当なものでありました。

なんかこう、全身から立ち昇る「誘い受」オーラが…!!
よかった。笑

きっと治郎はセザール(義父)に対しても、なんらかの気持ちを抱いていたのでは!?←邪推??汗

これは2人の行く末も気になりますが、それよりも、同じ悲しみをわかちあえる相手がいることは、なんて幸せなんだろうと感じた作品でした。


【ミックスジュース】

大学教授の北山と学生の松崎直也。
恋人同士のふたりは夕べ「境界」について不毛な会話を交わしたけど…。
* * *

なんだかもう、哲学的すぎです!汗

でも、短編でここまで奥行きがある作品は単純にすごい!
と、おバカな私は思ってしまった。

難しい論説は他の方にお任せするとして(汗)、「境界線上」のキスシーンがとても印象的でした。


【X X X】

留学中のケンと、ジョーとのやり取りを描いた描き下ろし。

このおかげで、「表題作はハッピーエンドでよかったんだ!」と、胸をなで下ろしてみました。笑

だって、映画館での再会のシーンのみでは、互いに「幼なじみ」のポジションで終わってるんじゃ…??と不安だったので。汗

ちゃんと海を越えて、ラブが育っていたんですね~。

よかった♪

「友情と恋」という普遍的なテーマについてじっくりと描いてあって、焦らずに時間をかけて愛を育てていくのも素敵だな~、としみじみ。

これは「雰囲気」が楽しめる、ゆったり?としたBLをお求めの方にこそおススメです!

たまに手にとって、何度も繰り返し読みたくなる。
そんな1冊でした。

これまで えすとえむさんに躊躇していた方にも、ぜひおススメです!

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コメント

それはぜひ!
オッサン好きにオススメですか!それはぜひ読まねば!
えすとえむさん知らなかったので、他の作品も検索してみました。
おされですねーー。多田由美系?
ほんと映画好きそうだわこの人。
BL描く作家さんたちの絵柄って知れば知るほどおしゃれだったり
美麗だったりきらきらだったり。
西田東さんってホントに異質ですね~。いろいろ言われるわけだなあ。
こきちさん、こんばんは♪
> オッサン好きにオススメですか!それはぜひ読まねば!
中古ででもいいので、そのうちぜひ~♪
> おされですねーー。多田由美系?
あー、似てますね~。ほんと、おされなんですよね~。それだけに、海外が舞台だと、スクリーンの向こう側のような感じで読んでいました。
でも、やっと今回で近くに寄ってきてくれた感じです。
> BL描く作家さんたちの絵柄って知れば知るほどおしゃれだったり
> 美麗だったりきらきらだったり。
う~ん…確かにおしゃれで美麗できらきらが主流ですよね~。少女漫画もそうなので、やはり時代の流行の絵柄なんでしょうね。
> 西田東さんってホントに異質ですね~。いろいろ言われるわけだなあ。
うふふふ。だけど、最近すっかり絵が上手くなってしまって…。喜ばしいことなんですが。笑
でも、最初色々言われましたが、デビュー初期から根強いファンを持つ作家さんですから、やはり読者はストーリーの良さを支持するんだと思います。
今日さっそく新刊を読みました!!こきちさん好みの方がいましたね!!私は久しぶりに西田さんらしいあとがきが読めてうれしかったです!←そこかよ~

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