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松本ミーコハウス『恋のまんなか』(ミリオンコミックス)

ほんわかしたタイトルに、ほんわかした表紙デザイン。
それだけで「ほんわか」した内容なのかと、勝手に思い込んでしまった自分を反省。

ということで、松本ミーコハウスさんの『恋のまんなか』(ミリオンコミックス)を読みました!

恋のまんなか (ミリオンコミックス 17 Hertz Series 52) (ミリオンコミックス 17 Hertz Series 52)
「俺ぁーゆーの、いじめたくなんだよねー」

内気な優等生の一之瀬司は、密かに同級生の松原千歳に想いを寄せていた。
だが、ある日、その気持ちを本人に見破られ、無理やり告白させられてしまう。
松原のアパートに連れていかれた一之瀬は、言われるままに松原と体を重ね・・・
どうしようもないほどのさみしさを抱えた少年たちの行く末は?

■初出■
恋のまんなか/HertZ band.19.21~27.2007-2008
2匹の伴侶、あとがき/描き下ろし

-----------

「攻めがいじわる」と、どちらかのブロガーさんが仰っていたのを覚えていたので、見つけたなり購入してみました。
いじわる…。いいですよね。笑

でも、
「攻めがいじわるっつっても、最終的にはラブラブなんだろ?」
ってな安易な発想で読み始めたら、どっこいこれがかなり重めな内容で、正直びっくりしました…。
表紙のラブっぽさとのギャップに、最終話まで気がぬけなかったです。汗

形はちがうけど、「愛されたい」との思いを常に胸に抱え続けてきた二人の、夏、つかの間の逃避行の果てに見つけた、小さい幸せの物語でした。


【恋のまんなか】

お前 俺のこと超好きじゃん
超ウケる

学年一成績優勝な生徒、一之瀬司は、同級生の松原千歳に淡い恋心を抱いていた。だが、その気持ちに気づいた千歳に関係を迫られ、なし崩しに身体をつなげる仲になる。
千歳が何を要求してもただ従順に従うたけの司と、そんな司の気持ちを試す衝動にかられる千歳。
夏休み、ともに手を取り合って向かった先で二人を待っていたものは…?
* * *

この作品を読んで、2つびっくりしたことがあります。

ひとつは前述の通り、ほんわかした表紙タイトルとその重たい内容とのギャップ。
そしてもうひとつは…
なんと、地元(出身地)が出てきたことです!笑

あ~、まさかあんなマイナーな地方都市がBLコミックに登場する日が来るとは思っていなかったので、なんだかひとりでドギマギしてしまいましたよ。

とまあ、それはともかく。

この作品でもっとも輝いているのは、なんと言っても「いじわるな」攻め、千歳でしょう。

両親に育児放棄されて来た千歳は、「愛されて育った子ども」ではありませんでした。
それだけに、人の愛し方がわからない。

司に声をかけて身体の関係を迫ったのも、単に同性同士の行為に興味があっただけに他ならず、それこそ司の気持ちなどは全く意識はしていません。
口先だけで言う「超ウケる」、という乾いた台詞にも、それがありありとあらわれています。

対する司は…いったいなんと言えばよいのか…。

ただのMっ子と言ってしまうには、あまりに掴みどころのなくて、非常に心細い。
千歳に関係を迫られた時も、家出をそそのかされた時も、司には自分と言うものがあまりにもなくて、ただ言いなりに流されるだけのキャラに物足りなさも感じてしまう。

でも、それこそが病的なまでに母に偏愛され、母親の期待通りの道しか歩いてこなかった彼の悲しさ、という気もします。
そして、そういう育てられ方をされたからこそ、千歳を丸ごと受け止めることが出来たのだとも。

親の愛情を知らない千歳と、過剰なまでの愛情と期待を強いられて育った司は、両極にいるようで、実はとても近い存在だということを、何も語らずとも二人は肌で感じ取ったのかもしれません。


夏休みのある日、司は母に2週間の塾の合宿だと嘘をついて、千歳とともに北のまちへと逃避行します。

そこで最初に下車するのがJ磐線各駅停車の終着駅。
それが、なんと私の地元、F県い●き駅だったのです!

思うに二人は「青春18きっぷ」を使ったのではないかしら?
特急だとU野駅から2時間半のところ、各停では5時間近くかかるはず。
私も高校生の頃は、電車代を節約するために何度か利用したことがありますよ。(今は絶対無理だけど…)

東北の太平洋岸は寒流なので海面もきれいな青ではないし、水温もぜんぜん冷たくて、真夏といえども長く浸かっていたら唇が青くなるほど。
北の地方では、真夏といえる時期は本当につかの間なのです。

どこかうらさびしい二人の逃避行に、この地方を選んだのがあまりにはまっていて、そこに感心してしまいました。

ゆっくりと都会の喧騒を離れて、車窓から見える景色がどんどん変わってくる。

その感覚がよくわかるからこそ、「田舎の夜って暗いんだね」という司の台詞に共感して、それだけで彼らと一緒に日常から抜け出した気分になります。

そして、二人はさらに北に向かうわけですが、合宿には参加していないことが司の母親にばれ、苦情を言われた塾講が口にする言葉が印象的。

「今頃青春満喫してるよ」

そう。
まだ子どもの彼らには必死の逃避行なのですが、大人の目からみたら、所詮その程度…なんですよね。

海辺の町で、ただ毎日をひたすら抱き合ってすごす二人。
互いの体温しかすがるもののない、悲しくて甘い時間。

口には出せないどうしようもないさびしさや、抱えきれない不安をなぐさめあう2週間を一緒にすごすことで、千歳は「人を愛する気持ち」を知っていくのです。

これこそががBLの醍醐味!というものですね~♪
千歳が司に心を開いて、少しずつ変化していく表情や仕草が、私にはとても魅力的でした。

はかなく、もろく、なんの力も持たない少年達が、二人でいたからこそ身につけられた「強さ」を描いた作品。

あとがきでの数年後の二人の姿を見て、ただの青春のセンチメンタリズムでは終わらなかった関係に安堵し、ほっと胸をなでおろしました。
これからは何ものにも怯えることなく、ともに本当の笑顔で生きていって欲しいです。

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コメント

papicoさん、こんばんは~(^-^*)/

>「愛されたい」との思いを常に胸に抱え続けてきた二人
そして…
>2週間を一緒にすごすことで、千歳は「人を愛する気持ち」を知っていく
この過程が「恋のまんなか」を生きるってことになるんでしょうね。
その後、愛することを知った二人が猫の視点で描かれていたのも、かえって二人の関係をリアルに感じることができたし、恋する二人が見られて私もpapicoさんと同様、ほっとしました。

ちなみにこの作品を読んでいる間は、尾崎豊の「I love you」が頭の中で流れてました。少し昭和の香りがします。
私が時代から少し取り残された感がある田舎、J線沿線に住んでいるせいかもしれません。I県です。ふふっ
もしかしたらpapicoさんとはどこかですれ違っていたかもしれないと思うと、不思議です。。(´∀`人)
では、また☆彡

とここまでメモ帳に書いて、コメントを貼り付けようとしたんですが、旦那様の転勤が決まったと先ほど目にしまして、びっくりしました。
私も仙●は2回ほど行ったことがありますが、I県よりずっと発達してますよ~。うらやましいです♪
これから準備やら何やらでお忙しくなるとは思いますが、お身体には気をつけてくださいね。
落ち着かれましたら、新天地でもpapicoさんワールドが展開されることを期待しています!
空美さん、こんばんは♪
> ちなみにこの作品を読んでいる間は、尾崎豊の「I love you」が頭の中で流れてました。少し昭和の香りがします。
ああ~、ノスタルジック…!!そんな雰囲気ですよね~。2人ベッドの中で…みたいな!ナイスな選曲だと思います♪
>J線沿線に住んでいるせいかもしれません。I県です。ふふっ
まあ!そうだったんですね~、びっくり!!空美さんと、そんな共通項があったなんて、不思議なご縁ですね~。きっとすれ違っていたと思いますよ。J線の車両の中で。笑
>旦那様の転勤が決まったと先ほど目にしまして、びっくりしました。
ううッ。そうなんです。転勤のある会社だと承知はしていましたが、結婚10年まったく関係なく暮らしていたので驚きました。汗
でも、皆さんとてもいい所だと仰って下さいますし、兄友もブクオフもあるし、中古書店も多いみたいなので、安心?です!爆
蔵書の整理やなんだかんだが始まると慌しくなるかと思いますが、これからもマイペ~スで更新して行きますね~☆

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