HOME>[BLコミック]西田東

西田東『LIFE,LOVE 1』(花音コミックス)

2009年の初感想はやはりこれかしら~?

ということで、西田東さんの『LIFE,LOVE 1』(芳文社/花音コミックス)を読みました!

LIFE、LOVE 1 (1) (花音コミックス) (花音コミックス)
「ジャック、男に抱かれていいと思ったのは、おまえが初めてだ」
海外の視察先で政治家の養父と間違われた新海隆裕は、マフィアに誘拐されてしまった! マフィアの下っ端・ジャックの部屋に監禁された隆裕は、養父の救いを待っていた。しかし、汚職事件の発覚した養父が自分を見捨てたと知り──!!?
マフィア×政治家秘書、目を逸らすなスリリングラブ!

■初出一覧■

LIFE,LOVE #1/2008年花音4月号
LIFE,LOVE #2/2008年花音5月号
LIFE,LOVE #3/2008年花音6月号
LIFE,LOVE #4/2008年花音7月号
LIFE,LOVE #5/2008年花音10月号
あとがき/描き下ろし

---------------

発売日にたまたま池袋「とら●あな」にいたので、新刊用の平台を前にしてしばらくウロウロと見渡したのですが、なんと私としたことが、この単行本を見つけられませんでした…。
で、同行していたKさんに場所を教えてもらったという。(散々眺めていた平台にちゃんとありました…。Kさん、その節はありがとうございました。汗)

でも、その時一緒にいた皆さんも仰ってましたが(というか、聞いてみた)、今回表紙のイメージがいつもとは違いますよね?
それは垢抜けたタイトルロゴのせい?

あと、ジャックがアッシュ(@BANANA FISH)に見えてくるのは、やはり典型的なアメリカンカジュアルウェアのせいでしょうか?
というか、マフィアだから?

いえ、ジャックは攻めなんですけれど。


と、表紙ひとつとっても色々と言いたくなってしまった西田さんの新刊。
やはり期待を裏切らずに面白かったです!!

西田作品はもう、BL(ボーイズラブ)とかML(メンズラブ)とかの範疇に数えなくていいと思う。
カテゴリは「西田」で十分通用します。
相変わらず肉厚の肉体がホンモノっぽいです。笑

今回は「ストックホルム・シンドローム」がテーマ、なのでしょうか?
(「ストックホルム症候群」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

ありえなさそうな物語を「さもありなん」という風に描き出す、相変わらずの西田ワールドにまたまたのめり込みました!


【LIFE,LOVE】

ラブは… 意味がよくわかんねえ言葉だ


視察先で、雨の中ポスターの前に佇む金髪の青年に声をかけた新海(しんかい)隆裕は政治家である養父の政治秘書をしている。
あろうことに、義父と間違われてマフィアに誘拐されてしまう新海。
その誘拐犯の一人として新海の前に現れた男は、雨の日に出会った青年・ジャックだった。
スナイパーとしての腕を買われてマフィアの下っ端として生きるジャックと、反発しながらも義父に認められたい一心で日本の政治の世界で生きる新海。
閉ざされた空間で過ごす二人の間に、いつしか奇妙な感情が沸き起こる…。
* * *

これは舞台はアメリカの貧民街?それとも南米なのでしょうか?
今作も非常~に男くさかった!!です。笑

文字が読めない(失読症)ために、誰かの庇護の下(この場合はボス)でしか生きてこられなかったジャックと、義父への複雑な思いを胸にしながらその政治秘書をしている新海。

冒頭で描かれる、そんな二人のそぼふる雨の中での邂逅…。

これがとてもドラマチックで、まるで映画のワンシーンのよう。
これから起こる物語の導入としても、とても印象的です。

本当ならその一瞬の出会いですんだはずの二人なのに、運命の歯車の奇妙なひずみから、監禁する者とされる者として再会したのち、後戻りの出来ない関係へとその仲を発展させていきます。

そのジリジリと近づいていく二人の描写が実に無理がなく、また説得力があって、なんだか納得させられてしまう。
まるで、よく出来た密室劇を見ているようです。

また、西田さんの作品にしては珍しく、女性キャラが登場。
ジャックに気があるボスの女、という当初の設定以上に、後半の二人にとって重要な位置を占めてくるアニタがそう。
この女性がまたなんとも憎めない、いい役どころを持っていきます。

そして、このお話のもうひとつの見どころは、汚職容疑をかけられつつもふてぶてしく生き残っていきそうな、いかにも「日本の政治家然」とした新海父!

また、ジャックのボスが暴力によりジャックの精神まで支配しようとするくだりなど、一癖も二癖もある胡散臭いオヤジ達が物語の内容にリアリティと華(?)をそえています。

それにしても西田さん。
オッサン描くのが妙に上手いですよね~。
新海父の薄毛なんて、あまりの表現の精緻さに思わずしげしげと眺めてしまいましたよ。

それはさておき。

果たして新海とジャックの結びつきは、この極限の状況を抜けたとして継続するのか?
もはや関心はその1点のみ、と言っては過言ではありません。

新海のために組織を裏切ったジャック。
追われる身の二人が行き着く先は…日本…なの??

ジャックの金髪じゃ逃げおおせたとしても目立って仕方がないかも…ですが。汗

ただ、今後この二人の関係がどの様に変わっていくとしても、それはそれで読者が納得出来るものであろうことを期待出来るのが西田作品なのだと思います。

だから、日本の政治社会と異国のマフィア世界という、後ろ暗く因果な部分を背景としたこの二人の行く末を、西田さん流に描き切って欲しい。
話としてはこれからがとても重要だという気がします。

ああ~、また次巻の発売がとてつもなく待ち遠しい~~!
二人にはどうぞ心安らかな日々を、と願いつつ、2巻を楽しみにしております!


【あとがき】

おお!
西田さん、久しぶりのあとがきが!
と、思ったらそのあまりのシュールさに、懐かしさ以上に頭を抱えたくなりました。笑

その世界観、深すぎるぜ。汗

この記事のトラックバックURL

http://lovecomix.blog89.fc2.com/tb.php/481-9cce1a2c

コメント

いやん
シリーズ物は完結してから読み始めるを信条にしているのに、後書きだけ先に読んでしまったではないですか!(笑)

いや、シュールでした
okapiさん、こんばんは♪
今年もよろしくお願いします~♪
>シリーズ物は完結してから読み始めるを信条
素晴らしい心掛けですね!でも、そのお気持ちすごくよくわかります!一気読みは爽快ですよね!
だけど、好きな作家さんの作品はついつい即買い即読みしてしまうんですよ~こらえ性のないことで(^_^;)
このあとがきを超えるシュールなやつは、西田さんにしか描けませんよね。
うかつにも
西田東新刊が出ているのを知らなくて、アマゾンのメールで知ってあわてて注文したこきちです。あけましておめでとうございます。

年末は結局何も買っていなくてですね、これと同時に草間さかえさん「夢みる星座」とヨネダコウさん「どうしてもふれたくない」を買いました。ユギさんを後回しにしたのは、新しい世界を知りたかったから。

結果は・・・玉砕でした。どうも私は好みが狭くていけません。草間さんは絵がまぶしい?かんじで感情移入ができず(せっかくおやじも出てきたというのに)、「どうしても」はウェットすぎでだめでした。。外山にしつこく追及される小野田の番外編のみドライで面白かったです。

西田さんのこれは期待を裏切らず、3回読みました。花音はは西田さんの長編や連作ばっかり手がけているのですね。素敵です。
ジャックは無垢な天使&状況判断が的確な優秀な忠犬みたいなキャラクターを併せ持っていて、なんか深見と工藤が合体したみたいだなと思いました。対する新海は自己中の俗物として描かれているので、この先ジャックがどんなに辛いことになるんだろうとアニタと同じく心配しています。でもきっと、良い落とし所にいざなってくれると安心もしています。(^^)あー早く続きが読みたい~!
「天使のうた」で細かく描き込むようになったんだなあと思ってたのに、「LIFE,LOVE」ではまた昔のようにあっさりとしてきましたね。。
こきちさん、こんばんは♪
今年もよろしくお願いします~♪
> 西田東新刊が出ているのを知らなくて、
いや、私も新刊チェックが甘いので、よくありますよ、そういうこと。汗

> 結果は・・・玉砕でした
ガガーン!!そうですか~。「どうしようも」はともかく、「夢見る」がダメだったとは少なからず衝撃的です。こきちさんのお好みは、ホントに通ですね~。
>「どうしようも」…ウェットすぎでだめでした
なるほど。確かに女子の「お涙」を狙った感はありますよね。そこが演出上上手いな、と思ったのですが、同人も読んでいる読者の方に、どうにも「デジャヴ」を感じてダメと仰った方もいたので、作風そのものがそうなのかな、という気がしています。(私はヨネダさんの同人誌未読なのでなんとも、なのですが)
>外山にしつこく追及される小野田の番外編のみドライで面白かったです。
ああいうエスプリの利いた部分のみがこきちさんのアンテナには届くのですね。手強いですね。笑

>花音はは西田さんの長編や連作ばっかり手がけているのですね。素敵です。
そうなんですよね。「花音」って勝手にふんわりしたイメージのレーベルなのですが、西田作品はガツンと重いものばかりなんですよね。

> なんか深見と工藤が合体したみたいだなと思いました。
言い得て妙ですね!私はピュアな狂犬だと思ったのですが、そういえばまだ狂ってないですね。これから…なのかなあ。汗

> 「天使のうた」で細かく描き込む…「LIFE,LOVE」ではまた昔のようにあっさりと
やはり「天使のうた」は上流階級?の話だったからなのでしょうか?ディアプラスだったから?担当さんに言われて、とか。笑
私はどちらが、と聞かれれば「LIFE,LOVE」の方が好きです。今後二人がどんな「生」と「愛」を見つけてくれるのか、大いに期待しましょう♪
私もガガーン
私のアンテナには自分でガガーンでした。ヤマシタトモコさんが苦手だったのではなくて、実際ほとんどが苦手なのかも。あー困った!入口が西田東、次に山田ユギという出会いが幸運すぎたのかも。あ、明日美子さんも好きです。「同級生」にしておけばよかった。
草間さんは読みにくかったんですよね。まぶしげな絵柄と独特なコマ割りのリズムがとれなくて、するするっと頭に入らなかったんです。最初、絵が苦手だと思ったのは西田、山田両氏もそうだったんですけどねえ。。おしゃれ絵柄全般がだめなのかというと明日美子さんはオッケーだし。自分でもよくわかりません。
ヨネダさんは読みやすいし、主人公たちの気持ちもよくわかったんですけど、シンプルなお話の割に長すぎた。だから嶋くんが必要以上にウジウジウジウジしてるのが腹立ってきて。心のせまいオバハンになったものです。

「LIFE,LOVE」ベタぬり面積がめっきり減りましたよね~。画面が白っぽい。アシスタントさんだっているだろうに(^^) そういえば、本作は30代が年上に片思いという私の大好き高年齢恋愛要素も入っていたのでした。ふふふ、本当に楽しみです。
こきちさん、こんにちは♪
>入口が西田東、次に山田ユギという出会いが幸運すぎたのかも。
そうですね~。こきちさんの場合、いきなり良い作品に出会ってしまったのが、かえって不運だったかも!?汗
>あ、明日美子さんも好きです。「同級生」にしておけばよかった。
まだのようなら、ぜひお読みになってみてください!奇をてらわない作りに共感して頂けると思いますよ。
> 草間さんは…まぶしげな絵柄と独特なコマ割りのリズムが
そうですね。でも、あれが草間さんの個性ともいえます。汗 草間さんは初期の作品の方(『はつこいの死霊』『災厄のてびき』など)が絵柄もコマ割もキャラも、もっと個性が際立っていましたね。 それに比べたら「夢見る」を読んだ時、なんと一般的な萌えを追求し出したのか、と驚きました。
>自分でもよくわかりません。
そうそう!その境界がよくわかりませんよね。
私は近頃、絵だけでなく、ストーリーだけでなく、その両方のバランスがよくないとダメだということはわかってきました。
>「LIFE,LOVE」…本作は30代が年上に片思いという私の大好き高年齢恋愛要素も入っていた
それは…新海→新海父ということですか!?なるほど~!そこに気付かなかったです。汗 あれは単に父に対する憧憬のようなものかと思っていました。
でもたしかに寝言で父親呼んでましたね!今思うと、変!!私もこれからはそこにも注目していきます。笑 

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

  Template Designed by めもらんだむ RSS

special thanks: web*citron, ARCHIMIXDW99 : aqua_3cpl Customized Version】


FC2Ad