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木下けい子『君によりにし』(ミリオンコミックス)

年の瀬に、よい誘い受けをありがとう!!

ということで、木下けい子さんの『君によりにし』(大洋図書/ミリオンコミックス 22 Hertz Series 54) を読みました!

君によりにし (ミリオンコミックス) (ミリオンコミックス 22 Hertz Series 54)
―気が付いたときには、夢中だった……―

『最初から、俺は身代わりだったのか?俺は』
父の葬儀の夜、大学生の大和は印象的な男と出逢う。
彼は名乗ることなく、気になる言葉を残していった。
「息子さんですか、よく似てらっしゃいますね」と。
数日後、大和は思いがけず彼と再会を果たすのだが・・・
月明かりの下、ひそやかに恋が始る・・・


■初出■
君によりにし/HertZband.26-27 2008
(全体的に加筆・修正あり)
スロウバラード/HertZband.12-13 2005-2006
我が恋し君/描き下ろし

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ヤバイよ!
まず表紙に一目惚れです!!

表紙もそうですが、木下さんならではの雰囲気が全編に漂っていて、素晴らしい

表題作は大学生x大学助手。同時収録は同級生もの。
どちらも、表面はとても静かなのに、水面下では大きな渦が巻いているような激しさを秘めている作品です。

木下さんの作品は、少年よりも、大人を描いた作品が好きです。
それはスーツが大好物だから…という非常に個人的に邪な好みもあるのですが、木下さんが描き出すキャラはちゃんと社会生活を送っているのに、どことなく浮世離れした風情があるのがたまりません。

大ゴマが多いのでサクサク読み進められるのですが、なんとなくページを繰る手をゆっくりにしたくなる。
何度も何度も繰り返して味わいたい、強烈さはないけれど、じんわりと心に染み入る熱のある1冊でした。


【君によりにし】

先生に…… 叱られてしまうな…


大学生の大和の父が亡くなった。葬儀の日、そっと遠くから様子を見守り、名も告げずに立ち去った一人の男がなんとなく気になる大和。
それが国文学者の父の助手を務めていた小野寺だった。
父の遺稿をまとめるために、しばらくの間定期的に家を訪れることになった小野寺と、その訪問をなんとなく心待ちにするようになった大和。
だが、ある晩を堺に小野寺と只ならぬ関係に。そして小野寺は大和に対し、ある秘密を抱えていた…。
* * *

作中引用される「梓弓」の和歌は『伊勢物語第24段』かららしいです。
勉強になるなあ。

月夜にたたずむ風情がなんとも言えない小野寺…。
いいですね!!
喪服!!←不謹慎?汗

さて、この年になると、ふとした仕草やクセが親に似ていることに気づいて、「ああ、自分もこの人と血が繋がっているんだなあ。」なんてしみじみする瞬間があります。

大和も、顔は似ていなくとも、声や話し方、背中が、ふとした瞬間に父親にそっくりで、驚くのは本人よりも周りの方だったりします。

国文学者で大学の教授だった父の助手として務めてきた小野寺が、どういう形で大和の父と関係して来たか。
それははっきりとは描かれないのですが、ここはぜひプラトニックであって欲しい。

募る思いを一人胸の内に秘めながら、失ってしまった恋しい人の面影を残す大和に出会うことで、閉じ込めていた劣情がある日爆発する…

という展開のほうが、単純に萌えます!笑

小野寺というキャラは表情に乏しくて、心情を現すモノローグも最小限なのですが、かえってそれが小野寺の掴みどころのない部分をよく表現していて、大和の気持ちにぐぐっと寄り添っていける。

その分、あえてひどい言葉を投げつけて大和の前を去った小野寺の本心がひどく切なくて、再会を果たした後の、喜びと驚きの混じった複雑な表情とのギャップもよかったです。

ふとした視線や控えめな感情が醸しだす“雰囲気BL”の真髄を堪能できる作品でした。


【スロウバラード】

お前は こんな関係 望んでないのに―


高校の頃つき合っていた優矢と新太は10年後、友人の結婚式で再会する。
当時は互いに傷つけあって上手くいかなかった二人だったが…。
* * *

いいですね!
10年愛!!←古ッ!笑

表題作から遡ること3年前の作品。
でも、そんなことは全く気にならず、木下さんの作風の安定感に、ほっとするような気さえしてしまいます。

若さゆえに傷つけあってしまった二人が、10年という時を超えて、本当の気持ちに従って歩み寄るお話。
誰と付き合おうと、何年たとうと、どうしても忘れられない面影ってありますよね。

どうしてあんなことを言ってしまったのか。
どうしてあんなことをしてしまったのか。

そんな後悔をずっと胸に抱えて生きてきたであろう、新太の健気さが胸を打ちます。
きっと、優矢と再会した瞬間は、涼しい顔をしながらも、心臓は早鐘を打っていたんだろうなあ。

離れている時間が必要な「愛」もあるんですね。
そして、10年は、少年が大人に成長するのに十分な時間だというのを、直接描かずともしみじみと感じさせる手腕に脱帽しました。


なにはともあれ、理由のわからない年末の忙しさの中、この作品でホッと一服?出来て良かったです!

時間が許せば感想に取り掛かりたい作品はまだまだあるけど、気付けば今年も残り2日…
実際は難しいかな~。汗汗
それ以前にいつの間にか100を超えていた積読本を1冊でも多く消化せねば!…ですかね。涙

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