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依田沙江美「真夜中を駆けぬける」(二見書房/シャレードコミックス)

依田沙江美さんの「真夜中を駆けぬける」(二見書房/シャレードコミックス)を読みました!

真夜中を駆けぬける
…新進気鋭の画家日比谷勇気と雑誌編集者の土谷昇は二度目の恋の真っ最中。ところが仕事相手に嫉妬してみたり同居を申し出たりするわりに筋金入りの浮気癖を持つ勇気に、昇はことあるごとに悩まされっぱなし。しかしそんな昇も同じ思いを何度もしながら勇気のもとを離れられない自分の気持ちを認め、昔とは違うつかず離れずの関係を築いている。いわれのない妬みや贋作騒動etc‥事件?と痴話ゲンカがたえない二人がくりひろげる、丁々発止のラブコメディ。

■CONTENTS■
「タイムシャワーに打たれて」…COMIC Charade1997年10月号
「ルサンチマンは踊る」…COMIC Charade1998年2月号
「賢者は叫び呟く」…COMIC Charade1998年6月号
「ためいきのグリークギフト」…COMIC Charade1998年10月号+描き下ろし
「真夜中を駆けぬける」…COMIC Charade1996年10月号
「LONG NIGHT」…描き下ろし

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三浦しをんさんの「シュミじゃないんだ」(新書館)の「純愛」がテーマの欄で取り上げられていたのが依田沙江美さんのこの作品でした。

今まで漫画を絵柄で選り好みしがちだった私…。
「それではいかん!!」と一念発起してここ数週間新しい作家さんに挑戦しておる訳ですが、依田さんもそのお1人。

はじめての依田作品は、どこか懐かしくて、何度も読み返したくなる不思議な魅力に満ちておりました。


実を言いますと、わたくし。
近所のBOOK-OFFで、「真夜中を駆けぬけろ」の続編である「千の花―真夜中を駆けぬける 2」を先に購入して読んでしまっておりました…。
ちょっと絵柄をチェックしようと手に取り、表紙を見たのが運のつき…
見事フォーリンラブ致しました。

好きなんです。
こういった頼りなげな風情…。

しかも、8年前の作品ながら内容がめちゃめちゃ面白い
まったく古さを感じさせません!!
BLの伝道師、しをんさん教えて下さってありがとう!!

となると、これはどうしても1巻を読まないと気がすまない!!

とういことで、かつて同様になかなか手に入らなかった山田ユギさんの「キビシイのである」をあっさり購入出来た(ちなみに今見たら無くなってました…)『セブンアンドワイ』で検索!!
あったよ、あった!!
昨年秋に重版されていたのですね。
近所にBL扱っている本屋さんがないので、こういう時本当に助かります~!

ということで。

勇気と昇が出合ったのは、それぞれ15歳と17歳の頃。出合ってすぐに恋に落ちて情熱に突き動かされるままに付き合ったけれど、徐々に二人の間には溝が出来て別れてしまう。
大人になり、画家と雑誌の編集者として再開した二人の二度目の恋の物語…。

よいです。

何がよいって、分別のある大人になってからの本当の恋の味わいがあります。

あとがきによると、依田さんははじめ1回読みきりのつもりで第一話目の「真夜中を駆けぬける」を描いたとのこと。
よかった~!続いてくれて!!
単行本ではこの一作目が最後に収められているのも、また憎い演出です。


時に作品を抒情的に彩るのが、主役二人の心情を表わす言葉たち。
私は次の勇気の独白の一文を読んだ途端、若く、恐れをしらず、ひたむきに誰かを愛そうとしたあの頃の感情が心に蘇って来ました。

確かにあの頃ふたりは愛しあっていたのだろう
けれども 俺たちはあまりにも若く

脳みそは保護しきれぬほど柔らかくもろく 
周囲に敏感で 大人の干渉をうけ

愛しあい奪いあい
痛みをぶつけあい
まるで加減を知らず

幼い魂は不可逆的変態(メタモルフォーゼ)を
くり返し…くり返し…

いつか二度とは戻れぬほど 遠くへ投げ出されてしまった

~中略~

あの愛は寿命を迎えていたのだと思っている



依田さんのネームの才能、只者ではありませんね。


第2話「タイムシャワーにうたれて」(単行本では最初に収録)にある、勇気の独白。
「同じ人間に 2度も恋するなんて あるんだろうか」
これがこの作品のテーマです。

無鉄砲だった子供の頃と違って、互いに色々と経験を積み、色んな垢がついて来る。
でも、その経験を生かして、時には押して、時には引いて、徐々に気持ちを通わせ、確かめ合う。
若さだけで突き進むことの出来ない、大人の恋の醍醐味です。
いや、それはそれで辛いけどね。

それにしても勇気よ。
そんなに昇にゾッコンなのに、何故に浮気を繰りかえすのか!?
大宇宙の摂理…って厄介なものだね。


二人の恋愛模様ももちろんですが、勇気が新進の才能ある画家という設定なので、同業者からのやっかみや、贋作騒動、世話になりつつ袂を分かつこととなった恩師とのしがらみなど、練られたプロットも読んでいて楽しいです。

でも、悔しいかな私には上手くその面白さが伝えられない…。
そう、それは今市子さんの作品の面白さに似ている!!
言葉で説明するのが、とても難しいのですよ~。
「文筆の神様!願わくば私にもっと文章力を与えたまえ!!」

まだ読んだことのない方は、ぜひ一度お読みになって下さい。
そしてこの作品のかもし出すリリックな作品世界を、何度も深く味わって頂きたく思います。

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