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草間さかえ『イロメ』(ディアプラスコミックス)

一気に涼しくなってしまって、頭も体もすっかり拍子抜けしちゃってます。
ヤマシタさんの新刊もまんまと買い損ねちゃってるし。トホホ。

でも気を取り直して、今作もすばらしかった草間さかえさんの『イロメ』(ディアプラスコミックス)の感想です!

イロメ (ディアプラスコミックス)
―いびつでも、欠けてても、この恋が欲しい。―

そっけない銀縁眼鏡のむこうから、野田先生は俺に信号を送る。ここ、テストにでるぞ。ここ、覚えとけよ。―でも、先生、ほんとに送りたい信号はそれなの?先生と生徒、先生と卒業生、先輩と後輩、幼なじみの同級生。校舎の中で生まれ、育ってゆくいろいろなイロコイを描いた草間さかえ傑作読みきり連作!

■初出■
イロメ…Dear+2005年10月号
花いちもんめ…Dear+2007年4月号
うらはら…Dear+2006年12月号
あつくてつめたい…Dear+2007年7月号
カオス…Dear+2008年1月号,2月号
先生の写真…描き下ろし
幕間まんが…描き下ろし



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ある高校を舞台に繰り広げられる恋愛模様を描いた短編集。
かつ連作です。
そう、これぞ正真正銘の学園モノ

初期の頃の、クセのあるテイストもいいですが、さらさらっとして気負いのない、だけど作家の個性は決して失われていない、こういう描き方もとても魅力的だと思います。


校舎のどこにいようと目に入る彼の姿。
巣立って行く生徒と、それを見送る教師。
繰り返される儀式的な告白。

学校という閉ざされた空間で、ゆっくりと発酵し匂い立つ、甘く、秘めやかな恋。

草間さんが描き出す情感溢れる恋物語が、じっくり、じんわり、味わえます!

【イロメ】 ワンコな生徒・桃(山)×ツンデレ教師・野田

先生は 試験に出る大事な所で 教室をぐるっと見回す
だけど先生と目が合うのは いつも俺一人で
その時先生は 俺を くすぐるような目で見るから


* * *

短いページ数でも、しっかり読ませてくれるのがさすがと言いましょうか。
表題作でもあり、タイトルの意味が最初「?」でしたが、読んで納得。
ストレートに「色目」でした!

視線の探りあいから恋愛に発展するBLが近頃少ないな~、と(勝手に)思っていたところなので、私にとってはうれしい展開のお話でした。

野田先生が、一見お固いのに、大人らしからぬ暴走具合を見せるところがツボ。
逆ならよくあるけれど、先生が無理やりでなくこうなってしまうっていうのはけっこう珍しいパターンかと。
草間さんらしい捻りがよい。
野田先生、グッジョブ&ナイスツンデレ!

でも…「眼鏡が曇っちゃった!」って、のたまう桃よ…。
謝るのはそこじゃないから~。笑


【はないちもんめ】 無骨な新入生・小野・Xワケありの先輩・森崎

子供(ガキ)は利己的で 興味の無い物には構いもしないって
あんたは 分かってる?


入学式に遅刻した小野に「俺と花見しない?」と持ちかけた2年生は、森崎と名乗って新入生リボンを胸に留めてくれた。帰ろうとする小野を引き止めて、おせっかいにもクラスを確認してくれた森崎は、どうやらワケありらしくて…。
* * *

いや~、森崎があまりにカワイコちゃんでびっくりしました。(中身もだけど、特に顔が…)
時に草間さんはこういうカワキャラをお描きになりますね。(そして、かなりの確率で「ヒカゴ」ヘアーだったり…)
笑顔の裏に隠されたさびしさに、母性をくすぐられるっつーか。笑

小野の天然むっつり攻めが面白かったです。


【うらはら】【あつくてつめたい】 幼馴染の同級生 ナオシX光彦

好きだって わがまま言ったら ナオシはいなくなる


……俺がやってる事は キレイ事のおためごかし なのか……?


小さい頃から一緒だったナオシと光彦。彼女を作っては別れを繰り返す光彦に、ナオシはいつもハラハラされられっ放しで…。
* * *

よくある幼馴染が実は好き同士で・・・、ってパターンをこんなに新鮮に読ませるのはさすがと言いましょうか。←2回目

昨日まで一緒に育ってきた友人が垣間見せる性的な表情に、オロオロととまどうナオシがよかった。

子供時代のカエルのエピソード。
おもろ~!なナオシのじいちゃん。
光彦のバイト先(小野もいるよ!)の冴えないコンビニ店長の何気ないひと言。
全てが伏線としてうまく絡み合っていて、感服しました。

これまで培ってきた友情と、恋愛感情の狭間で揺れ動く気持ちを、「おためごかし」とズバリ言い切る草間さんの感覚が小気味いいです。

知恵熱、のオチがお気の毒さまでした。笑


【カオス(前後編)】【先生の写真】 卒業生の壬生谷くんX見た目攻め気な白川先生

俺は 先生を抱きしめるために 大きくなったんだ


「背が伸びて ここを卒業して 大人になった時に もう一度おいで」生徒に告白されるたびにそう言って断ってきた白川。「その頃には心変わりしてるさ」と言いながら、かつて好きだった教師に自分が言われたその台詞が胸の奥底に息づいていることを自覚し、動揺する。そんな白川のもとに、その言葉を実行し戻って来た生徒がいて…。
* * *

白川先生と『イロメ』の野田先生は、この学校出身でかつ先輩と後輩だったんですね!
まあ、なんて素晴らしい資質の学生が集まる学校なんでしょう。笑

さらに、壬生谷くんは何センチ成長して白川の前に戻って来たのでしょうか?
158cm→190cmとか?
どうにも気になって仕方がないんですけど…。

さて、表題作とリンクしつつ、この中で一番ボリュームがあるのがこの白川先生のお話です。そして一番印象に残ったのも、やはりこの作品でした。
草間さんの中では、実はこっちが本編だったのかしら?

ちょっとひねくれた大人になってしまった白川先生のもとに、真っ直ぐ飛び込んでいく壬生谷くんの姿がなんともフレッシュ!
すごく好感度大な男の子です。

可愛い仔犬がもらわれていったのち、躾けの出来た立派な大型犬になって戻って来た、みたいな?
待て!の時の瞳もキラッキラです。笑

好きな人の言葉にとらわれてしまう人間の愚かしさ、成長した自分の姿へのコンプレックス、そして本当は誰かに愛される存在でいたかったんだと、深く傷つく白川先生の姿に心打たれました。

切ないです。

だけど、「運命の人」に出会えてよかった。
きっと壬生谷はありのままの先生を、ずっと愛してくれますよ。

こういう作品を読むと、BL(コミック)を読んでてよかったなあ、としみじみ思います。

さて。

内容もさることながら、この単行本は「幕間まんが」とそのコメントが最高!でした。
笑える~!!
幕間を読んで、「なるほど、そうか」とうなずかされることも多かったです。
(森崎のセーラー服はどうかと思うが…。あと、チンピクって言葉、はじめて聞きました。汗)

そして、草間さんのキャラは使う小物や部屋の様子にその人となりがよく表れてるな~、と感じるんですが、今回は野田先生の学校の上履きが「健康サンダル」に対して、白川先生は「小洒落たスリッパ」だったり、そんなところまで!って驚きがありました。

チリ一つ落ちてなさげな白川先生の部屋には納得ですが、最後のひとコマ…
あれはいったい誰の部屋なのか!?

桃山の部屋なら納得なんですが、もしも野田先生の部屋だったとしたら、最初に(「イロメ」で)感じた印象とのギャップがあまりに激しすぎます。笑

さらにカバー下は必見!
桃と壬生谷、まさにあんな感じ!

いや~、それにしてもさすが草間さんです。
先生と生徒の組み合わせの妙、そして、年下攻めの醍醐味を久しぶりに堪能出来た作品でした♪

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