HOME>[少女マンガ]小玉ユキ

小玉ユキ『坂道のアポロン 1』(フラワーコミックス)

この表紙を見て、私が素通りできるワケがあるまいよ。

ということで、小玉ユキさんの『坂道のアポロン 1』(小学館/フラワーコミックス)を読みました!

坂道のアポロン 1 (1) (フラワーコミックス)
恋と友情と音楽。思春期というものは、いつの時代も眩しくて少し苦い。60年代後半、地方の町を舞台に、ナイーブ男子とバンカラが繰り広げる直球青春物語。

 1966年初夏、横須賀(よこすか)から地方の高校へ転入した薫(かおる)。幼い頃から転校の繰り返しで、薫にとって学校は苦しいだけの場所になっていた。ところが転入初日、とんでもない男と出会い、薫の高校生活が意外な方向へ変わり始め…!?
■収録作品/「坂道のアポロン」(1)/「種男」
(「flowers」2007年11月号~2008年3月号掲載作品)

--------

「バンカラ」。
久しぶりに耳にしました。この言葉。

バンカラとは、「言動や風貌が保守的で粗雑な人のこと」とのことです。
「日本語俗語辞書」“バンカラ”の項参照)

バンカラと言えば、私はやっぱり「イワキ」(by「ドカベン」(秋田書店/水島新司))とか「嗚呼!花の応援団」(双葉社/どうくまん)のイメージが強いんですけど~。
彼らよりはこの作品に登場するバンカラ・千太郎は、ずっと洗練されてますからどうぞご安心ください。笑

月刊 flowers (フラワーズ) 2007年 11月号 [雑誌]
←「月刊flowers」2007年11月号表紙
この一番左が千太郎です。(見りゃわかる?)
口にくわえているのは「葉っぱ」ならぬ「コスモス」です。笑
でも、私としては千太郎はバンカラというよりも“マドロスさん”て感じなんですけど。横縞Tシャツから言って。
だけど、マドロス…も死語だよね。苦笑
ちなみにマドロスはオランダ語で「船乗り」の意味ですよ。

とまあ、そんなことはおいておいて。

モチーフはかわいいけれど、ちょっとシュールでファンタジックな短編で独自の作風を展開していらっしゃる小玉ユキさん。すっきりとして透明感あふれる画面に漂う、ほんわかとした空気感がその作品の魅力です。

これまでも「人魚」や「白鳥」などが登場する現代のおとぎ話とも言える作品で、熱烈なファンを獲得されていらっしゃる彼女の、巻をまたぐ初の長編。

そこには、今とは時間の流れ方がちょっとちがう、数十年前の日本の高校生ライフが鮮やかに描き出されていました。


【坂道のアポロン 1】

雨上がりの
傾いた太陽を 一人占めにして
俺の大嫌いな 坂道を
軽々と駆けおりていく 
君には
その坂の先に 何が見えているのか
それは 俺が見たことのない 風景なのか


船乗りの父親を持ち、母は失踪した西見薫(にしみ・かおる)は、小さい頃から転校を繰り返してきた。
転校するたびに味わってきた疎外感を払拭するために、彼が必要としてきたもの。それは屋上。
新しい学校でも、心のバランスを保つために屋上に向かった薫だが、その入り口で居眠りをする奇妙な男に突然手を握られる。

「…お前、鍵 欲しかとか」
そう言って、目の前で3年生と喧嘩をはじめたその男こそ、クラス委員の迎律子(むかえ・りつこ)の幼なじみで、クラスでも札付きの不良と言われている川渕千太郎(かわぶち・せんたろう)だった…。

* * *

『あぁ、丸尾君になりたい!丸尾君になって
西見君の恋の行方を毎日観察してみたいー!』
(帯より 三浦しをんさん推薦文)

・・・と、しをんさんは仰りますが、正直私は丸尾くんにはなりたくないなぁ。汗
どうせなら純情可憐でしずかちゃんみたいな律子になって、西見くんに“切ない片思い”をされたいです。ふふふふふ。

この作品は1960年代が舞台なのですが、1966年と言えば旦那の生まれ年!!
なんと42年前です!!ぎゃー!

ビートルズが来日した年であり、日産がサニーを、トヨタがカローラを発表し、私の出身地であるいわき市にかの“常磐ハワイアンセンター”(現スパリゾート・ハワイアンズ)が開業した年ですね。
(詳しくは蒼井優ちゃん主演、映画『フラガール』をご覧下さい。笑)

あの映画をご覧になった方なら、なんとなく時代の空気が感じられるかもしれません。
ちなみにひとこと申し上げますが、私は70年代生まれですよ。ふ。

と、それはともかく、西見くんです。

切れ長の眼、クールな表情、毒舌、眼鏡、学ラン、優等生、そしてピアノ…。
萌えるアイテムが揃いすぎの西見くんに、表紙の時点で一目惚れです♪

私は小玉さんのお描きになる目つきの悪…いえ、クールな眼鏡男子にめっぽう弱いことを、「羽衣ミシン」の沓澤により自覚していましたが、彼にはあっさりと夢打ち砕かれちゃったんで。ハハハハ…。

というわけで、漫画の神様、夢をふたたびありがとう!←手塚先生?

そして、誤解を恐れずに言うならば、2話の時点まで非常にBL的にお話が進んでいくので、読んでいるこっちがなんだかドキドキしてしまったんですが…。汗

寝ぼけた千太郎が西見くんを天使と見間違って手を握ってきたり、その腕っぷしでもって3年生から屋上の鍵をもぎ取ったり、さらにどしゃぶりの雨の中、屋上を駆け出して、二人でずぶ濡れになったり・・・
と、実に素晴らしい演出が多発!!

雨に濡れながら瞳に涙(雨粒?)をたたえた西見くんが、とても美しい!
りっちゃんの審美眼、恐れ入ります~。

だけど、それはもちろん西見くんと千太郎が友人としてお近づきになるための通過儀礼であって、本編は律子を中心とした『恋と友情の青春ド真ん中☆』ものでした。笑

アポロンとは「ギリシア神話に登場する主要な神。 オリュンポス十二神の1柱とされ、古典時代のギリシアにおいては理想の青年像と考えられた。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「アポローン」の項より)」、日本でもお馴染みの神さまですね。
ローマ神話では“太陽神”と言われています。

千太郎が持つあふれるばかりの力強さや生命力、快活さなどは、チビでガリでモヤシっ子の西見くんにはきっと太陽のように眩しい存在。

だからこのタイトルになったのかしら、なんて考えるのもまた楽しいものでした。
ええ、西見くんはきっとヒュアキュントスなのね…とまではもちろん言いませんけどね。←妄想が暴走


新しい友情を得、ジャズの魅力を肌で感じ、恋を知った西見くんの青春がこれからどう展開するのか?

律子の千太郎に対する恋の行方は?
そして、千太郎のキレイな帽子のお姉さんに対する恋の行方は!?

ああ~~!気になる~~~!!

ということで、2巻以降は彼らの恋模様にスポットが当たると思われ、ますます目が離せませんよ。
純情な西見くんが苦い恋を経て成長する様を(←勝手に決めつけ)、あなたもぜひ一緒に見届けて下さい♪


【種男(たねお)】

仕事の出来るOLの志田さんがある日花屋でもらった植木鉢から、一人のオトコが生まれて来て・・・。

* * *

まさに小玉さんらしい短編。
切なくやるせない読後感がしみじみします。

種男の天然なタラシぶりには、口があんぐりしちゃいますよ~。
水と光だけでいいなんて、ラクチンだけど、ペットにしては大きいよな。汗

いかにも生殖からは遠い存在に見えた種男が、雌株に出会った途端に機敏に動いたのが私的には大変ツボでした。


さて。

今回も相変わらずの透明感あふれる作画が、とても素敵な作品でした。
各話の扉のイラストがまた味わい深くて素晴らしい!です。
今も昔も若者はキラキラと恋をして、いっぱい笑っている。いいわ~♪

読んでいて、とても幸せな気持ちになれる作品。
2巻の発売が今からとっても楽しみです!

この記事のトラックバックURL

http://lovecomix.blog89.fc2.com/tb.php/232-99c31a1d

コメント

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

  Template Designed by めもらんだむ RSS

special thanks: web*citron, ARCHIMIXDW99 : aqua_3cpl Customized Version】


FC2Ad