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新田祐克『ウブ』全2巻(花音コミックス)

男が男を愛する時』(感想はこちら)、『ラスト・ワルツ』1・2巻(感想はこちら)、『ナイトキャップ』(感想はこちら)『イロコイ』全3巻(感想はこちら)に続く、シリーズ完結編!!
『ウブ』全2巻(芳文社/花音コミックス)です!

ウブ 1 (1) (花音コミックス)ウブ 2 (2) (花音コミックス)
鷹秋の恋人、そしてホストクラブオーナーとしてスタートを切った新川は、恋敵だった岩城にホスト志願の甥の教育を頼まれる。しかしそれは鷹秋との関係に波風を立てることになり…。はたして新川の決断は…?

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巻収録分が花音2004年1月~2005年1月号に掲載。
2巻収録分が花音2005年3月~2006年1月号に掲載され、コミックス発行にあたり最終回に加筆されています。


いよいよ新田さんの「ホストシリーズ」も最終章。
『イロコイ』でのラストを見て、このまますんなり納まる恋じゃないとは思いました…。
が、ここまでドラマティックに盛り上がるなんて!!
新田先生、「マ~ベラス!

作品全体に、煌めく星のように散りばめられた台詞とモノローグ。
それら全てが巧妙に張られた伏線の数々だということに、ページを閉じた時に気づきます。
どうぞお取りこぼしの無いように…。

鷹秋と新川の奇跡の恋。
岩城の愛。
そして剣崎の募る想いの行き着く先は!?

息つく暇も無いジェットコースターラブロマンス、怒涛の完結です!!



ここまで読んでくると、私にもだいぶホストの私服や私生活のことがわかって来ましたよ~!
今さらビキニパンツくらいじゃあ、驚きません!!
レザーなんて朝飯前。
豹もパイソンもゼブラも、まとめてかかって来なさい!!

部屋の一部が全面鏡貼りだろうと、室内に螺旋階段があろうと、キングサイズのベッド所有だろうと、そんなものは標準仕様なんですね。
いやー、勉強になります。笑

新川も岩城さんもえらくなっちゃって(というよりプライベートな場面が増えて?)、スーツ姿が減っちゃっいましたね。
代わってジーンズが増えてます!!
新鮮でよいです

各話扉のイラストのファッションがスタイリッシュで、惚れ直します!!(あくまで剣崎以外…汗)
ここ10年のホストの基本ファッションの変遷がわかりますね~。
まー、いい男は何着ててもいいのですが。

私服の鷹秋がけっこうシンプルな上品コーディネートで、素敵~♪
「キレイなおねいさん系」というか。レディースものなのかしらん。
新川からの拘束具…もとい、贈り物の両耳のダイヤのピアスだって、彼でないとつけこなせませんよ~。

横浜デートで着けてた蝶柄のスカーフが可愛いです
二人、あんま陽の光が似合ってないんだけどさ。ププッ。


さて。


仕事への意地とプライドが邪魔をして、同業者としては歩み寄れない鷹秋と新川。岩城の甥っ子、知臣(かずおみ)の登場で不安定な二人の関係がさらに傾き始める。
自分が育てた新川の指導者としての力を信じ切れず、知臣を預けられない鷹秋。そんな鷹秋の態度に絶望し気落ちする新川は、いつも自分のことを考えてくれる剣崎の側に居心地の良さを感じ出す…。


…って、また剣崎かいッ!!
いや~、ホント健気なのは分かるんですが、ここまで来ると辛すぎる~~~!
連載時はさぞや同情票が集まったことでしょう。
でも、そんな剣崎に…
とうとう奇跡が起こりました!


鷹秋との関係に新たな光を見出すことの出来ない新川は、剣崎の目の前でその関係に自ら終止符を打つことにする…。


でもまさかまさかまさか!!
この二人がこんな関係になるとは!!
しかも「新川」が「ネコ」!?←あえて直接的表現を回避

ギャーーーーー!!!助けてーーーー!!
だだだだだッ!!←現実から逃げる足音
ザブーーン!!←湖に身を投げた音。合掌。
ってな気分です!


そして鷹秋はといえば、夜の街でその場限りの関係を結ぶ相手を探すようになり…。

って、これじゃあよしながふみさんの「西洋骨董洋菓子店(アンティーク)」の千影と出会う以前の魔性のゲイにして天才パティシエ・小野さんと一緒じゃないですか~~~!!
鷹秋の「魔性ッぷり」が炸裂!!
しかも、歌舞伎町でゲイを見つけ出すその嗅覚!!すごすぎ!!
シリーズ最初の頃の鷹秋に戻っちゃったわ~~!
そういえば漆崎さんて人、いたっけな~。←遠い目


鷹秋、駄目な時はとことん駄目な男なんですが、こういう時に出ちゃうんですね。
生来のさみしがりや体質が。
だから皆、鷹秋を放っておけないんですよね~~。
江利子ママに代わって、「しっかりしな!!」と叱りつけたくなっちゃいます。


しかし、そんな鷹秋の行動に気づく岩城。そして、もう一度チャンスをくれと鷹秋に迫るが、その胸に飛び込むことを鷹秋は躊躇する。
そして、行きずりの行為の報いが刃となって鷹秋に牙を剥く…。


ここからお話の展開も終焉にむけて一気に加速!
読んでて息もつけません!!


路上で刺され、病院に担ぎ込まれた鷹秋の前に心配した新川が現れる。岩城との仲を誤解したままの新川は「鷹秋との関係がどう変わろうと自分の原点は鷹秋だ」と語り、その場から去ろうとする。だが「岩城さんの方が絶対俺を幸せにしてくれる」と言う鷹秋の目に涙が光る…。


うわッ!!キターーーーーーッ!!
鷹秋の最終兵器「殺し涙」!!

無理無理無理!!
こんな顔されたら新川じゃなくても、絶対抗えません!!
もう、鷹秋こわッ!

これ無意識なんだよね~、きっと。
これが天然の怖さ…なの!?汗


病院で鷹秋に対する気持ちを再認識した新川は、剣崎のことを思い別れを告げる。だが、納得できない剣崎は鷹秋を恨み、病院に押しかける。
だが、病院の前には新川がいた…。


この後の新川と剣崎のやり取り…泣かせます!!
最後新川の胸で泣く剣崎の表情が穏やかで、やっと思いを断ち切れるとほっとしたのかな~と思ったり。


岩城の力で、鷹秋を刺した男が捕まった。剣崎の進めで、岩城に会いに来る新川。犯人を目の前にした新川は、釘だけ刺してこのまま離してやるように岩城に告げる。そこに退院した鷹秋が現れ…。


新川とは今後友達としてやっていく決心をした剣崎。
ここに来て男を上げました!!

俺とお前は永久に恋人同士にはならない
だから、俺達は永久に別れないんだ
(西洋骨董洋菓子店同人誌「永遠はありますか?」より)


とは、「西洋骨董洋菓子店(アンティーク)」のオーナー橘が、自分を好きな小野さんに向かって言う台詞ですが、剣崎と新川を見てこの言葉を思い出しました。


結局は鷹秋が新川に素直な自分の気持ちを伝え、めでたくモトサヤに納まる二人…。

も~~~、あんた達「回りくどすぎ!!
ゲフンゲフン。はーはー。

新川も鷹秋も「本気の恋」にはとことん「ウブ」だったんですね。
恋愛って相手のことを思ってしたことが空回りしちゃったり、誤解したり、誤解されたり、素直になれなかったり、見栄をはって相手を傷つけたり、傷ついたり…。そうやって他人(ひと)との距離を一歩一歩縮めていって、ちょっとやそっとじゃ壊れない強い絆を築く作業なんだろうと思います。
この二人のように。

だから、そんな思いをしてやっと繋いだその手をもう二度と離さないでね。


いや~~、終わった終わった!!
今は読み終えた達成感で「気分爽快」って感じです!!

岩城さんの花婿姿も見れたしねッ!!
って…なんかくやしーーーーーーっ!!ムキーーーー!!
これは超想定外でした!
そういや鷹秋との会話の端に「それらしいこと」を匂わせてる場面がいくつかありましたよ!!
新田さんにまんまとやられました~~~!!
「岩城さんがまさか女なんかに落ちるなんてッ!!」と思いましたが、そもそも彼、ノンケですもんね。
キングも1人で生きていくのがさびしくて、年貢を納めることにしたのかしらん。
でも、お相手の顔が見れなくてよかったようなさびしいような…。
鷹秋に似てたら相当洒落になるんだけどな~。


新田さんが巻末のあとがきでおっしゃっていますが…10年ですよ!!
彼らとともにこの物語の世界を10年間過ごしてきたわけです。
キャラクター主導のお話なのに、読者に対して伝えたいことをきっちり伝えた新田さんの作家としての力量に感服します。

卓抜した技術で描かれる華麗な絵柄、大胆で印象的な大ゴマ、ここぞという時に出る決め台詞、ドラマチックかつ緻密なストーリー展開、登場人物の心情を表す巧妙な演出の数々…に酔いました!!
BL界といわず、漫画界を代表する作家さんだと思います。

私には15年間漫画を読んでいない時期があります。
当然今になって、その空白の時間がもったいなかったと思うことも多いのです。
でも、今こうしてまとめて一気に素晴らしい作品を読めるというのも、ある意味幸せなんだと思える作品でした。

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