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木下けい子「隣の彼」(大洋図書/ミリオンコミックス)

「雰囲気BL」の旗手、木下けい子さんの最新刊。

「隣の彼」(大洋図書/ミリオンコミックス)を読みました~!

隣の彼 (ミリオンコミックス 60 Hertz Series 34) (ミリオンコミックス 60 Hertz Series 34)
大学に入学して憧れの一人暮らしを始めた松田くん。
ところが、アパートのお隣さんは無精髭にジャージ姿の怪しい住人・早乙女さんとちっちゃな住人はなちゃん・・・
最初は早乙女さんを警戒しまくっていた松田くんだったけれども、
いつしか強く意識するようになっていて!?

■初出■
ライフ イズ ビューティフルⅠ・Ⅱ・Ⅲ→HertZband.14-16.2006
隣の彼Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ→HertZband.17-19.2007

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BL読みにとってのけい子さんと言えば、紺野さんか木下さんかと。
(おっとイニシャルもK.Kだ…)

で、木下けい子さんと言えば、ふんわりとした優しい絵柄と、ほんわかした作風が持ち味の作家さん。

泣き虫なリトル」「君とハルジオン」「ボクとオレのカワイイあの子」(大洋図書/ミリオンコミックス)と、立て続けにほんわかほんわかな雰囲気そのままで来て、ガチンコラブが溢れるBL作品の中、一服の清涼剤としてその作風にはたいへん癒されておりました。

さらに満を持して登場した「キスブルー」(大洋図書/ミリオンコミックス)で、「切なげ系作家」として不動の地位を確立されましたね。

「攻めがこういうタイプになって、持ち味にも幅が出たのね~、ふむふむ。」
と、ここまではまだまだ私にも余裕がありました。
そして、その後読んだ「蜜色パンケーキ」(コアマガジン/drapコミックス)…。

これがけっこう私的には衝撃作だった!!
「ええ!?こう来ちゃったの!?」みたいな…。

というわけで、今回の「隣の彼」も読むのに勇気がいったのですが、思い切って読んでみてよかったです。

目つきの悪いやさぐれ感いっぱいの無精ヒゲ、そんな八乙女は名前通りの乙女攻めでありました!


【隣の彼】

長野から上京して初めての一人暮らしに挑戦する松田くんは、お隣にすむ素性の知れない子持ちの八乙女がなんとなく気になっていた。そんな時、預かったはなちゃんが急に発熱して大慌て。病院に付き添った時にはなちゃんの苗字が「野島」だという事を知り、八乙女に真実を問いただす松田くん。そして、はなちゃんが実はかつての想い人の忘れ形見だと知った松田くんは…。

* * *

う~む。
当初の読みが外れたたために、もの凄く意外な展開だった…。

わたくし、八乙女は100%「受け」=総受けだと思い込んでおりました…。

あの~、彼ってばどっからどうみても立派な「誘い受け」に見えるんですけど~??
わたくしってば、最近のBLの毒に冒され過ぎてしまったのかしらん!?

だから松田くんは当然そういう流れで「ノンケ」→「攻めキャラ」になるんだと信じていた自分の浅はかさに、オロオロしちゃいましたよ。

あとがきにもありますが、木下さんは八乙女を「萌えアイテム」を総動員した攻めだと仰ってます。
だけど、周囲からは「ど真ん中の受け」だと言われたそうです。
うん。そうですよね。
私も同感です!!
とりあえず、木下さんのまわりの方とは同じ感覚でよかった~。笑

なにはともあれ。

この攻めの八乙女が、なんだかめっぽう魅力的。
ジャージも、無精ヒゲも、子煩悩で料理上手なところも、BLにおいてのモテ要素は十分に満たしております。
おお!そうか、これが“萌えアイテム”の力ですね。


大学の後輩であり想い人だった野島が、自分の妹と結婚してはなが産まれた直後、事故でこの世を去ってしまいます。その後会社も辞め、はなを引き取り、自らの手で慈しみ育てている八乙女。
お隣通しのお付き合いから、その人柄に好感を抱いていた松田は、実はゲイだと告白した八乙女に翻弄されながら、自分の本当の気持ちに気付いていきます。


ときおり口をついて出る長野弁がとってもいー感じの松田くん。
純朴青年をまさに絵に描いたよう。

この松田くんが、八乙女に振り回されて傷ついた時の表情がすごくいいです。
恋の切なさ全開!

さすが木下さんですね。

でも、そんな松田くんが八乙女の魔性にじょじょに絡め取られていく様を読みながら、思わず心の中で叫んでしまいましたが…。

「あぁ~、松田くんが汚れていく~~~!!!」と。笑

はなちゃんの寝顔を見ながら、窓の外遠くを走る電車を見ながら、八乙女が何年もの間死んだ野島のことを思い続けていたのかと思うと、胸が痛みます。
だから、人恋しくなって大人のつきあいと割り切った恋人がいるのも納得出来る。

でもそんな八乙女を放っておけずに、真っ直ぐ飛び込んでいくその勢いが、松田くんの良さであり、若さなんだな~、きっと。

妹と結婚して幸せそうにしている野島を見ているのは辛かったと思う。
でも、それでもきっと生きて、二人で笑っていて欲しかったはず。
妹の真理と野島、この二人を同時に失って生きる“よすが”は はなちゃんだけだった八乙女を、松田くんは精一杯の愛情で救ってくれるでしょう。

ああ、でも最後のページの松田くんに対する八乙女の放った台詞…。

いい顔するようになったじゃねーか


くくくぅ~。
八乙女よ、やはりバリタチか。
でも松田くんの成長を待って、いずれ下克上を期待したいものだ。

と、なかなか「男前」な受けの松田くんのこれからが楽しみなラストで、思い込みに振り回された割には、読後感がとてもさわやかな作品でした!

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