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国枝彩香『番人』(リブレ出版/ビーボーイコミックス)

今日こそは年賀状を印刷しようと思ったのに…
何と、プリンターが壊れた~!!
おーまいがー!

もうすっかりやる気がなくなったので、2007年の心残りがないように感想をあげようと思います。
ということで、国枝彩香さんの『番人』(ビーボーイコミックス)です~!

番人 (ビーボーイコミックス)
《夜伽、母の謎、本当の父、最後の夏の洋館―暴かれた、愛。雑誌掲載に衝撃を呼んだ、読者の心に刻まれた名作登場!》

洋館に囚われた無垢な弟・霞に献身的に仕える、無口で無愛想な加納。
主人の胤彦は、感情を見せない加納に伽を命じる――この男の激情を感じるために。
そして暴かれる三人の秘密、本心、愛…死者が語る最後の一日とは。
他、著者の才能全てを揃えた傑作集。

■初出■
番人/MAGAZINE BExBOY(’05年8月号)掲載
ShowMeHeaven/MAGAZINE BExBOY(’06年1月号)掲載
空の裏側/MAGAZINE BExBOY(’07年2月号、’07年3月号)掲載
めぐり逢い…COSMO/b-BoyPhoenix(2)(’06年9月)掲載
あとがき/描き下ろし

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「著者の才能全てを揃えた傑作集。」

b-boyの新刊予告でこの文字を見たとき、私の胸がどんなに期待にうち震えたことか…。
そして、どうです!?
この素晴らしい表紙のイラストは~~~ッ!?
ギャー、すてき~~!!!
…こほん。

国枝彩香さんと言えば、坂井久仁江さんのペンネームでも数々の名作を描いていらっしゃいますが、その代表作が『花盛りの庭』(集英社/ヤングユーコミックス)のシリーズかと。
この作品は、祖父と父と雅樹、三代の男達をめぐる「秘密」を描いた全5冊からなるシリーズもので、雅樹とその父の近親相姦など、かなり重いテーマをメインとしています。

そして、玉の輿を狙う美人OLとクリーニング屋の跡取り息子の恋を描いた『雨の日は恋をする』全7巻(集英社/ヤングユーコミックス)などのラブコメディでは、笑わせながらも恋する切なさを上手く切り取って、さらに心がぽっと温かくなるような心巧みな理描写も見せたりする。

その間口の広さがとても魅力的で、好きな作家さんの一人です。

ただ、なんといいましょうか、国枝作品の特徴として、ドロドロと暗い作品は果てしなく暗く、明るい作品は天井をぶち抜く勢いで果てしなく明るい…。
そして、美形はとことん美形で、ブ●イクはとことんブ●イクだと…。笑

両方のバランスが程よいと思うのは堅物な高校教師と軟派な美術教師のラブを描いた『未来の記憶」「風の行方』(ビブ版/ビーボーイコミックス)位でしょうか。汗

だから、今作も私的には期待通りっちゃあ、期待通り!!
だけど、「やっちゃったね、国枝さん」の感も否めない。

ただ、あとがきによるとご本人が至極ご満悦のようなので、それもまたよしでしょう。爆

“究極の耽美”と“BL界の歴史に残る問題作!?”の競演。
国枝ワールド初心者の方は、どうぞ心の準備をなさってページをお開き下さいね。



表題作を含めた3編の中編と1つの短編からなる奇跡のコミックス。
良くも悪くも?作家国枝彩香という人を集約させた1冊であることは確かです。


【番人】

亡き父から譲られた別荘に、斉原胤彦(さいばら・かずひこ)は今年もやって来た。
白い髪と赤い目を持ち、生まれつき虚弱な体質から世間と隔離されて育てられた斉原の弟・霞(かすみ)。そして、少年時代に別荘番の下働きとして拾われて来て、霞が唯一懐いている加納(かのう)。二人はひっそりとそこに暮らしていた。
この寂れ果てた洋館を霞ごと好事家に売り払うことにした斉原は、加納にそのことを告げる。普段は感情を表さない加納が、その時だけ表わした激情――。
死者となった斎原が語る、最後の夏の出来事。

* * *

国枝さんが描くと、「耽美」はこうなるんですね。
冒頭に“死者が語る”という前置きをして物語中の「死」を読者に認知させ、その後は「いかにも耽美的なアイテム」を総動員してラストまで畳みかけていく…。
そのスゴ技に感嘆しました。
JUNE世代の私にとっては、かつて嗅いで心に深く刻み込まれた、懐かしい香りがする作品です。

物語の時代設定がはっきりしませんが、恐らく大正あたりでしょうか。
斎原の死んだ母を中心とした、霞と胤彦と加納の関係。
危うい均衡ながら長い間保たれてきたこの関係が、斎原の抑えてきた欲望が爆発することで一気に崩壊します。

霞を世間から遠ざけるための「番人」として加納が存在し、斎原と加納の関係を継続させるための「番人」として霞が存在した訳ですが、斎原の死によってその必要は消滅し、加納はそれまで愛し慈しんできた霞をも死の世界へ送り出します。
ラストシーンの眩いばかりの朝の光が、そこに語られて来た悲劇に、より暗い翳を落とす…。
斎原こそが二人をこの世に繋ぎ止めるための任を負った「番人」だったのだと思いました。


【ShowMeHeaven】 バツイチリーマンxストリートボーイ?

苦みばしって眉間に皺を寄せた子持ちのバツイチサラリーマンと、男娼の青年(源氏名マヤ・本名は真也)が繰り広げる、実はとってもスウィ~ト
なお話。
私は国枝さんの、この持ち味が好き。

国枝さんの描く美人はうっとりする位の美形が多いですが、真也の放つコケティッシュな魅力にはもうメロメロ(死語)です~
私的「健気受け№1」の称号を与えたいと思います。


【空の裏側】

高校時代、陸上部のヒーローと言われた先輩・五十嵐陽介(いがらし・ようすけ)の葬式で、五十嵐保(いがらし・たもつ)は忘れられない思い出の人・野宮聖(のみや・さとし)と再会する。10年前の夜に起こった事件により、苛まれ続けた心の傷は決して癒されることはなく…。

* * *

これは「人間の心の裏側」を抉り出して描き上げた作品かと思います。

人が心の奥に抱え持つ残虐で、あまりに自己中心的な欲望。
あるきっかけによって箍が外れ表に吐き出された加虐性は、理性を凌駕し、ただ他を圧倒して蹂躙していく…。

暴力を与えた人間、受けた人間、そしてそれに加担した人間。
彼らに平穏は二度と訪れることはなく、圧倒的かつ一方的な支配=レイプによって起こった悲劇の顛末が淡々と語られています。

国枝さんご本人も「愛があっても●姦は犯罪。なのでこの人たちはもれなく不幸になりました」と解説されています。
最後の聖の笑顔にも、決して心は休まらない。
後味の悪さが、いつまでも心に重く圧し掛かる作品です。


【めぐり逢い…COSMO】

出た~~~ッ!!
BL史上最大の問題作にして傑作かと思われるこの作品。

ここで強烈かつ殺人的なインパクトを放つのがクラウス・フォン・コールタール艦長、御ン年28歳!!

BL界の黒歴史として燦然と輝く『b-BoyPhoenix(2)不細工特集』で、最も話題をさらった人物というのも納得のブサイクさです!!

国枝さんの画力って、すごい~~!!爆

このインパクトに負けてページをホチキス止めしてしまったあなた、実はクラウス艦長見かけはアレですが、気持ちがとても優しく美しいんですよ。
心を落ち着け、深呼吸をしてからページを開き、是非一度じっくり読んでみて下さい。

なんと言っても「ホモミシュラン」さんの“2007年度ホモミシュランオブジイヤー”「攻キャラクター部門」での現時点(2007年12月28日現在)第1位ですから!!

なんと『春抱き』の香藤と僅差での接戦を繰り広げていて、結果が気になります。
おかげでこのところ毎日チェックしてしまいます。笑

クラウス艦長ばかりに目が行ってしまうのも最もではありますが、これはヤ●ト!?、こっちはオ●窓!?みたいなパロディがそこかしこに散りばめられていて、抱腹絶倒です。

実は幼い頃離れ離れになった●だったという設定の美形捕虜・アレックスとの6ページにも渡る濃厚かつ破壊的なXXシーンもあって、国枝さんのサービス精神には身も心も酔ってしまいそう。

その酔いが気持ちいい酔いなのか、それとも悪酔いなのか…。
ぜひともご自分でお試し下さいね!

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