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鳥人ヒロミ『饒舌な試着室 新装版』(ビーズラビーコミックス)

急に暑さのぶり返した土曜日の美容院の帰り道、「そういえば9/15発売でチェックしないといけない新刊があったはず…」と唐突に思い出して、隣市K市の駅ビルに入っているK国屋書店へ向かう。

エスカレーターで書店のある8Fへ上る途中、ずっと作品名を思い出そうと記憶を辿るがさっぱり浮かんで来ない…。
最近、こういうことが本当に多いんですよ。
いやんなるな~。

書店について真っ直ぐにコミックコーナーへ…。
すると、目的のものがすぐに目に飛び込んで来ました!

「そうだ!この表紙だよ~!!」

そんな訳で、鳥人ヒロミさんの『饒舌な試着室 新装版』(エンターブレイン/ビーズラビーコミックス)を読みました~♪

饒舌な試着室 新装版 (ビーズラビーコミックス)
スーツは極上のエロス。男の身体は、包むほど彩めき立つ――。

ボンクラ大学生の陸は、成人式のスーツをあつらえるため、父に連れられ高級老舗テーラーへ。
そこで出会った年上美人の店長、仕立ての腕は超一流。だがとんでもなく男にだらしないロクデナシで!?
軽い気持ちで手を出したのが運の尽き、陸は店長の魅力に絡め取られてしまう。
高貴で淫らで美しい、あのひとに振り向いてもらうには?
若さと無限の可能性だけを武器に、青年は賭けに出る――。
鳥人ヒロミのリュクスな名作シリーズが、装いも新たに登場。
貴重な描き下ろしエピソードと、単行本未収録作品を28ページ加えた愛蔵版!!

■CONTENTS■
饒舌な試着室 第二話…2004年 BE・BOY GOLD 6月号(ビブロス刊)
饒舌な試着室 第三話…2004年 BE・BOY GOLD 10月号(ビブロス刊)
饒舌な試着室 第四話…2005年 BE・BOY GOLD 2月号(ビブロス刊)
饒舌な試着室 休日…2005年「饒舌な試着室」(ビブロス刊)
饒舌な試着室 サイレント・マイノリティ…描き下ろし
シークレット・キス…2003年コミックアクア夏号(オークラ出版刊)
弟のユウウツ…2003年「b-BOY LUV 5」(ビブロス刊)
シンクロニシティ…2005年 It's BOY'S LOVE Vol.4(マガジン・マガジン刊)

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リュクス(=luxe)とは、「贅沢」「豪華」「優雅」「上品」などを意味する仏語を語源とする言葉。

このところファッション紙でよく見かけるこの単語を、よもやBLコミックで拝見するとは!

でもね、確かに上品で素敵なんです。
この装丁。

画像ではわかりづらいですが、タイトルもイラストも、ちょっとマットな手触りの紙に、艶のあるゴールドでプリントされているんですよ。
そして、文字にはアクセントに紅色があしらってあって、本当に洒落てます~

コミックコーナーではやはりダントツに目を引いていました!

視力が悪いうえに、視野が異常に狭い私でさえ一発で見つけられたのですから、デザインの勝利といえましょう。
「カラーイラストじゃビブ版に勝てない」という、編集部の判断は間違いなかった!

鳥人さんのHP「おまえはそれでいいのか」で、この表紙が披露された時から、発売されたら絶対買おう!と思っていました。
(もちろんビブロス版も持っています。)

この時の残留思念が、暑さボケで働かない脳の片隅にかろうじて残っていて書店に引き寄せたに違いありません。


純情一途な若者のはじめての本気の恋がゆっくりと成就する過程を、さあご覧あれ。


【饒舌な試着室】


男性にとってスーツを仕立てるという行為は、きっと女性にとっての着物を誂えることと同等の意味を持つものなのですね。

世界でひとつだけの、特別な一着…。
それは確かに、大人にだけ許された贅沢な愉しみです。


銀座の老舗「テーラー・ヒイラギ」の跡取り経営者の柊麒一(ひいらぎ・きいち)は、そんな贅沢で豊かな愉しみを顧客に与える超一流の腕を持つ天才肌の職人だが、その実とんでもなく男にだらしない一面を持つ困ったちゃん。
御年38歳のいい大人です。

父が有名アナウンサー、母が女優の家庭に育った中沢陸(なかざわ・りく)は、成人式用にスーツを仕立ててもらうことになり、常連の父に連れられて渋々やって来ます。
父親のジャケットにキスをする姿を偶然見たことから、衝動的に柊に手を出した陸は、その危うい魅力にまんまと転がされてすっかり骨抜きに。
でも、そんな柊にはかなりクセの強い彼氏がいて…。


作中にもあるとおり、これは男性版「マイ・フェア・レディ」な物語。

何といっても憧れの男に少しでも近づこうと懸命に努力する陸の姿がほほえましいのですが、年齢差がほぼ!という設定に、改めて驚いたり。

いえ、自分が柊とほぼ同年なので、19歳という年齢が自分の年齢のすでに半分にあたるんだ!という驚きなんですけどね…。
年下攻めとしては、この位の差は余裕で範疇にありますよ。


「ただ漠然と青春を過ごしていた陸が、柊に出合ったことをきっかけにはじめて将来のことを真剣に考え始める」というのがこのお話の軸なのでしょうが、もう一つの見方としては、「柊は、陸に出会ったことで自分の人生を立て直すきっかけを与えられた」のですよね。

だって、柊さんたら本当にプライベートがダメダメで…。

イタい!!
イタすぎる!!!

作中で“ダメな女”に例えられちゃってる柊さんですが、何か女性に対して失礼な気がしてくるくらいなロクデナシ。
自宅寝室ベッド隣に洗面台完備って…どんな仕様なのよ!?
(もちろん、XX専用な訳ですが)

吉野さん(柊さんのじいや…のような方。本当はお店の経理係兼番頭さん??)と奥様(柊さんちの家政婦さん)の、長年のご苦労が忍ばれます。

それにしても、ヒゲ眼鏡(=柊さんの彼氏)のあの暴挙!!
有り得ないほどのドS振りには、思いっきり腰が引けてしまいましたよ~~。汗
あんなんしたら、普通なら警察呼ばれちゃうって~~。涙


でも、結局は走る車を必死に追いかける体力のあり余る、陸の若さゆえの勝利といいましょうか。
よかったです、必死の純情が実を結んでね。

柊さんのダメっぷりも丸ごと愛せる陸の姿に、本当の男の度量の大きさを感じました。
これは柊さんの期待通りの男に、きっと成長してくれることでしょう。

これからの彼らに幸多かれ、と願いたいと思います。



【シークレット・キス】
【弟のユウウツ】
【シンクロニシティ】

掲載紙がバラバラの短編双子モノを集めて、単行本に初収録です。

これは二卵性双生児の兄弟ものですが…
思わず、出た!兄弟!!
と叫んでしまいました。

でも、鳥人さんですから~。
受けにはちゃんとホクロもあります。笑

もしや『彩おとこ』既刊3巻(新書館/ディアプラスコミックス)の蘇芳と丁子の原点だったり…!?

それはともかく。

基本的に近○相○モノは苦手なんですが、今作にはとても心引かれるコマがありました。

中学の制服(詰襟)を交換して学校に来て行って、教室の窓辺でそれぞれの生徒手帳をうっとり眺めるシーン。
なんだか甘酸っぱい気持ちになるよ~!!

でもね、お母さんとしては複雑よ…。汗


そんなわけで。

装丁の完成度の高さと、単行本初収録作品28pのために、すでにビブロス版を持っている方もきっとお手元に置いておきたくなる1冊です。

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