[BLコミック]明治カナ子

  1. 2010/07/08 明治カナ子『地獄行きバス』(バンブーコミックス)

明治カナ子『地獄行きバス』(バンブーコミックス)

地獄行きバス (バンブー・コミックス 麗人セレクション)この幸せが消えるまでに
何度も
何度も 愛し合おう。

「6月に同僚と結婚をする」突然、同棲中の修から結婚報告をされたカンちゃん。別れを切り出すと、修はカンちゃんと別れるつもりはないと言い出す。どうしても別れたいならば…と修がカンちゃんに出してきた条件は“一週間、ふたりで旅行に行く”だった―。

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明治カナ子さんの作品で、『地獄行きバス』というおどろおろどしいタイトル…。

で、ちょっと手に取るのを躊躇していましたが、ようやく読みました!

結果、すごくいいお話でした~♪

正直、“意外や意外”でしたが。汗


表題作『地獄行きバス』は、バイヤーという職業柄、物欲(特に服と小物)がたくましいカンちゃんと、逆にまったくモノには執着しない修の物語。

第1話目の冒頭からして別れ話から始まる不穏なもので、「結婚しても別れたくないけど、1週間旅行につきあってくれたら別れてもいい」という修から出された非常に不毛な条件の下、温泉に連れ立ってやってくる二人。

当然、カンの気持ちと体はグラグラ。

もうすぐ結婚を控えた男と一緒にいなくてはいけない状態が苦痛で、うまく歩けないほどです。

お気に入りのパンツのひざが伸びるのもお構いなしに、地べたに座り込んだり、挙句の果てにうっかりコーヒーをこぼしてしまったりと、いつもなら絶対ありえないミスを連発するほど、うろたえてしまいます。

でも、そんな状態のカンに対して、あくまで普通に、そして強引に接してくる修…。

と、そこから怒涛の仲直りH(?)になだれ込むわけですが、ここからが明治さんが本領発揮。

ベッドの上で鮮やかになされていく問題解決の展開がすごい!!

一連の流れが大変スピーディーかつなめらかで、あれよあれよという間にツンがデレに転じ、なんということでしょう!

ラストは見事ハッピーエンドになるのです~!

お見事☆

なにこれ?
いったいなんの魔法だったの??笑

34Pの中に二人の抱える問題と解決が起承転結のうちに見事におさまって、本当に久しぶりに面白い作品を読みました。

これは『あふれそうな家』『夏の夢』『なにもいらない』と、シリーズが続くのですが、以降は基本バカップルたちのイチャコラ話で純粋に楽しめます。

基本明るくコメディタッチでも、修の背景に染み付く黒いシミのような過去の話には明治さん特有のダークな持ち味も生きていて、単純なラブコメではないところが非常に味わい深い作品でした。

ぐちょぐちょになりながらお互いの愛を確認しあう二人の姿には、人を好きなった時のみっともなさ以上に狂おしいまでの素直な愛情が滲んでいて、そのいやらしさがいっそ清清しいのがさすがです。笑

そして。

『夜の女王』シリーズは、あるトラウマから独り寝が出来ずに不眠症の貴志(きし)と、年下のイトコの輝。
そして、ウリをしていて貴志の家に出入りしているヒラ君のお話です。

貴志は幼いころのある事情から輝と一緒に暮らして来ましたが、今は近所に一人暮らし。

ヒラ君はあくまでも貴志の「枕代わり」として、お金で買われている身ですが、体の相性もよく優しい貴志を憎からず思っています。

輝は、貴志に対しては小さいころから一緒に育った「家族」としての感情が大きく、貴志は、子どものころから面倒を見てきた輝に「ふつう以上」の感情を持ってはいるらしい…。

そんな3人が、つながりそうでつながらないまま、非常にじれったく物語が進みます。

そして、恐らくきっと、大多数の読者にとってはかなり意外な最後をむかえるのですが、この終わり方は賛否がわかれるかもしれない…かな?

私は素直にこれでよかったな、と思いました。

これは恋愛そのものというよりは、貴志が過去のトラウマを克服し、前を向いて歩いていくきっかけを描いた物語なのだろうと思います。

あえてネタばれしませんので、この独特の読後感をぜひ味わってみて頂きたいです。

ラストシーンの花咲き乱れる春の庭のように、それぞれが明るい未来に暮らしていける予感が…

しませんか?笑

ところで、『地獄行きバス』は発表が2009年、『夜の女王』が2006年の発表で、間に3年の開きがあるのですが、なるほど今回は両作品の間に経年感がありました。

あとがきを読むと「なるほど」と思います。

明治さんなら「痛くてヒリヒリするような」作風という刷り込みがありましたが、近年はそうでもないですよね。
中には物足りなく感じる方もいるのかも。

でも、私はダークすぎずにエロ可愛い、最近の作品も嫌いじゃありません。
また次がどういった作品がくるのか、とても楽しみです。

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